性同一性障害のある経済産業省の職員が職場の女性用トイレの使用を制限されたのは違法だと国を訴えた裁判で、最高裁は6月16日に弁論を開くことを決めました。トイレの使用制限を適法とし、職員が逆転敗訴した二審判決が見直される可能性が出てきました。

この裁判は、戸籍上は男性で、性同一性障害で女性として暮らす経済産業省の50代の職員が、職場のあるフロアの女性用トイレの使用を制限されたのは違法だとして、取り消しなどを求めたものです。

一審の東京地裁は職員の訴えを認め、使用制限は違法だと判断しました。

しかし、東京高裁はおととしの判決で、「他の職員の性的不安なども考慮したうえで、原告に他のフロアの女性用トイレの使用を認めるなど配慮していて、不合理とは言えない」として、一審判決を変更し、原告側の訴えを退けました。

職員側が上告し、争っていましたが、最高裁は原告と国双方の意見を聞く弁論を6月16日に開くことを決めました。弁論は、最高裁がそれまでの判決を変更する際に必要とされる手続きです。

性同一障害の人の職場のトイレ使用について最高裁が判断するのは初めてで、経産省が使用制限したことを適法と判断した東京高裁判決が見直される可能性が出てきました。