「生みの親に会いたい」と言われたら

小川キャスター:
伝えていく中でお子さんに生みの親に会いたいと言われたときは、どうされるのですか。

久保田さん:
まず、どうしてそういう気持ちになったのかっていうのを受け止めながら考えたいなと思うんですね。というのは、養子であるっていうことで不安だったり、課題があるっていうふうに感じていてそういうことを言うんだったら、その不安自体はなくせないかもしれない。けれど、一緒にいて、わかってあげて聞いてあげるってことをするのが一番大切なんじゃないかなと思うんです。その上でやっぱり生みの母に会いたくなる気持ちも応援してあげたいなとも思ってますね。

山本キャスター:
久保田さんのように養子縁組をされたご家族がどれくらいいらっしゃるのか。2020年が693件。一方で、いろんな事情で生みの親のもとで育つことができない子どもたちというのがおよそ4万2000人いるということです。

小川キャスター:
4万2000人という数字に驚くんですけれども、お子さんがどう安心して育つ環境を整えていくのかが本当に大事なところですよね。

久保田さん:
この数字は私もよく見るんですけど、本当に他人事じゃないなって思うんですね。私の娘は、生みの親が特別養子縁組を選んだから私たちのところに来てくれたんですね。でも、ちょっと違った考え方をしていたら、全く違った環境で私の娘は育っていたと思うんです。でもどんな環境にあっても、私の娘は笑顔で生き生きと育っていってほしいなって思うんですね。

どんな状況であっても子どもの環境っていうのは大人がきちんと整えてあげないといけない。子どもは選べないんだなと自分の娘のことを考えるとすごく強く思っていて、その1つが特別養子縁組という選択肢でもあるということで。少しでも多くの人にこの選択肢を知ってほしいなって思うんですよね。

小川キャスター:
私自身シングルマザーになって、より一層血の繋がったお父さん、お母さんそして子どもではない家族の形があって、様々な家族の形があるのがいいんだっていうふうに思えるようになったんですけれども。それでもなかなか目を向けようとしなければそうした家族の姿というのは意識の中に入ってこないというところもあるんじゃないかなと思うんですよね。

久保田さん:
今回の取材も夫と4歳の娘とも話をして、多くの人に知ってもらいたいという気持ちで受けたんですね。もし、特別養子縁組っていうことに誤解があるんだとしたら、そうじゃないんだよっていうことを伝えたいと思います。おそらく娘は将来この映像を見ると思うので、この映像を見て「昔は大変だったね、誤解があって」っていうふうに笑い飛ばせるような環境にしていけたらなと思いますね。