やっぱり“オーガスタの女神の気まぐれ”なのかな【2013年 アダム・スコットとアンヘル・カブレラのプレーオフ】
中嶋プロ:
18番のやはりアンヘル・カブレラとアダム・スコットのやり取り。お互いがエールを送って、18番でその2人が、2人ともバーディーだったね確か。やっぱりバーディー合戦というのがナイスプレーの応酬っていうのかな、プレーオフに入って、でも(空が)暗いわけだよ。もういつ終わり、明日になってもおかしくない(状況)。もう次のホールに行けないっていう中での10番ホールでの、あのアダム・スコットのバーディー。あの雄たけびもね。よかったね〜。しかも長尺(パター)だったよね。もう本当に彼がパターでずっと苦労してきて、苦労してなかったら、もっとメジャーで勝ってたと思うんだけど、やっぱりそのアダム・スコットが勝ったメジャーっていうのがマスターズでよかったな~と。マスターズのチャンピオン、グリーンジャケットの仲間に入れてよかったなっていうのは18番と10番のプレーオフの2ホールでつくづく思ったね。
インタビュアー:
なかなか、オーストラリア勢が勝ててなかったから。
※オーストラリア勢ではアダム・スコットが初めてマスターズ優勝
中嶋プロ:
まあ、(グレッグ・)ノーマンもね、チャンスあったし、勝てなかったし、まあ実際にはノーマンが勝てそうな試合だったのを2試合とも落としてるよね。1回は6打差を逆転された96年だとか、本当にノーマンがいつマスターズのチャンピオンになってもおかしくない。86年のときもあの最終ホールでパーだったらジャック・ニクラウスとのプレーオフだった。ただ、ノーマンは86年のときとファルドに負けた96年と(ホセ・マリア・)オラサバルに負けた99年とラリー・マイズ(87年)もあったよね。だから4回あったんだよ。だからチャンスが4回あって4回とも、優勝できなかったっていうのはやっぱり“オーガスタの女神の気まぐれ”なのかなって気はする。当時ナンバーワンと言われながらも勝てない選手、勝負の魔法だね。やっぱりグリーンジャケットの魅力っていうのはそういうふうにさせるのかもしれない。
中嶋プロが語る“オーガスタ”
中嶋プロ:
ゴルフの聖地って言ったらセントアンドリュース(スコットランド)なんだけど、どうなんだろう。オーガスタってやっぱり夢の舞台だろうね。あそこに行くと夢心地になるもん。「何、ここ!」みたいな、きっとゴルフの天国って、ここなんだろうなあ、みたいな。
あそこに立てるっていうのはもうゴルファーとしては最高の瞬間じゃないかな。ましてチャンピオンになるなんて言ったら、例えば末永くメジャーで優勝争いができるのを選ぶか、それともたった一度でいいからメジャーに勝つか。それがもちろんマスターズだったとしたら、どっちがいいって言われたら、たった1回でもいいから勝ちたい。あとは駄目でもいいかなって思うね。
■中嶋常幸(なかじま・つねゆき)日本48勝 (国内メジャー 11勝)
1954年10月20日生まれ、群馬県出身。
1973年に日本アマを当時、最年少18で制し、1975年にプロデビュー。1982年に初の賞金王、1983年に8勝はツアー年間最多勝記録。日本人初の1億円プレイヤー。日本人で初めて4大メジャー全てでトップ10に入り。マスターズには過去11回出場し、1986年8位が最高。