市内を一望できる絶景スポットで自然豊か、しかも気軽に登れるとして市民から愛される鳥取県米子市の米子城跡。
そんな米子城跡を巡って、いま市民からある不満が出ているといいます。
一体何が起きているのでしょうか?

360度のパノラマビジョンで米子市街を見渡すことができる、米子屈指の絶景ポイント・米子城跡。
ある番組では、その絶景から「最強の城」に選ばれました。

市民から愛されるこの米子城跡。
いまここを巡ってある問題が起きているといいます。

キャスター 木嶋雄大
「米子城跡が見えてきたあたりなんですが、このあたり、木々があったであろう場所、大規模に伐採が行われています」

城跡の中腹、登城路の両側の広い範囲で樹木が伐採されていました。
一体なぜ?

米子市文化振興課 原宏行課長
「歴史的な大切な遺産ですので、いい形で後世に残していきたいなという一環で、樹木の伐採をやっているんですが」

国の史跡にも指定されている米子城跡。市によると、史跡としての遺構の保護、眺望の確保、登山者の安全確保などの観点から、毎年木の伐採を行っているとのこと。

しかし、今回のような広範囲な伐採を目にした市民からはこんな声が…。

米子城山の植物を愛する仲間 松下順一代表
「殺りく現場に立っているような感じだったですね。胸が痛みましたね、やっぱりね」

このように話すのは、米子城跡で植物観察会などを行っているグループの代表・松下さん。

四季折々に楽しめる豊かな森の姿が変わってしまうことに、悲しみと危機感を抱いています。

また米子城跡には、キンランやウラシマソウなど貴重な植物も生えているといいます。

米子城山の植物を愛する仲間 松下順一代表
「繁殖力の強いいろんな植物が入り込んできて、この辺が草むらになっていくんだろうなっていう心配もあります」

また景観以上に心配しているのが…。

キャスター 木嶋雄大
「こちらですかね、伐採されたであろう木々が、まだ道のすぐ横にありますね」

伐採によって山の保水力が弱まり土砂崩れが発生しないか。そして、切って置かれたままになっている木が転がり落ちないかとても不安だといいます。

米子城山の植物を愛する仲間 松下順一代表
「森と森を分断しちゃうと、全体的に山が弱くなってきますね。(雨水を)根で吸って土壌をきちんと循環させていますので、そういうのが無くなってくると、これからどんな災害が起きるか」

こうした市民の声に市は…。

米子市文化振興課 原宏行課長
「むやみやたらに木を切るという想定はありませんので、最大限(貴重な植物など)配慮しながら、専門の先生方にもいろいろとご指導をいただくうえで、進めていきます」

また、木を切る際も、根の保水力を維持するため、根元からは切らないようにしているとのこと。

しかし、放置している木については…。

米子市文化振興課 原宏行課長
「車が上がれるような城でしたら、伐採した木はそのまま撤去が出来るんですけども、米子城の場合、残念ながらそれができない。みなさんにご心配かけている点は反省してですね」

市は、関係部署などと調整し、撤去するか検討したいとしています。

米子城山の植物を愛する仲間 松下順一代表
「(現地説明では)いくら言っても『決まったことだから今年はもう切ってしまいます』と。多様性をもうちょっと十分に受け入れてくださるような説明がほしい」

市は現在、5年後の完成を目指し、山頂まで続く登城路も整備中で、今後、市報などを活用して情報提供に努めたいとしています。

米子市文化振興課 原宏行課長
「みなさんに理解していただいて、いい形で米子城の整備を進めていきたいなと思っています」