「穏やかな阿部さんがなぜ…」13年続く同僚の悲しみ

三洋タクシーの当時の社長で、阿部さんの同僚の伊藤稔さんは、一度たりとも阿部さんのことを忘れたことはないと話します。

【三洋タクシー 伊藤稔さん】
「自ら面接をして、全くタクシー経験のない中途の方を、私が現場で指導して育てたドライバーだった」

いつも穏やかだった阿部さん。歌を歌うことが好きで、ゴルフはセミプロ並みに上手だったそう。働きぶりも良かったといいます。

【三洋タクシー 伊藤稔さん】
「売り上げ順位から言いますと、(130人中)5~6番目くらいに位置した、非常にお客様にとって好感が持てるドライバーでしたから、指名するお客様も多かったです」

事件当日、急いで阿部さんのもとに向かったという伊藤さん

そんな阿部さんが事件に巻き込まれたことを知り、伊藤さんはすぐに現場へ向かいました。

事件の夜、みぞれ混じりで寒かったという

【三洋タクシー 伊藤稔さん】
「まず現場を確認しないと。実態を確認しないという形で頭が真っ白になりまして、現地に向かいました。ひどいみぞれ混じりの寒い夜でして、急いで合羽をきてきたが、それでも当日風邪引いたくらいの状況でした」

男はJR新潟駅南口でタクシーに乗り、事件現場に降り立ったあと、どこに消えたのか?14年が経とうとしている今も、男が見つからない状況に、伊藤さんはやるせなさを感じています。

【三洋タクシー 伊藤稔さん】
「(現場は)タクシーが通る時間じゃないんですよね。(犯人は)もうずぶぬれになって、どこかへ行ったと思うんですよ。また(犯人の)家族の方が帰ってくれば、不審に思うの当然なんですよね。そういう情報すら入ってきませんから…」