自宅を訪れた先生
「これからがんばったね会を始めたいと思います」

修学旅行にも参加した充実した12年間でした。綾香さんと家族を、医師・訪問看護師・ヘルパー、そして学校が1つのチームとなって支えています。

母 美鈴さん
「“チーム綾香” じゃないですけど、スポーツと一緒でチームだと思うので、本当、ただただ、がむしゃらに介護する毎日だったけど。ご縁がご縁をつないでもらってチームが大きくなって家族で笑顔で過ごせる日ができて」

自宅を訪れた先生
「よくがんばりました」

支援学校を卒業した後、綾香さんが日中、どこで過ごすべきか―。美鈴さんは悩んでいました。受け入れてくれる施設は多くはありません。

広島特別支援学校の 合田和広 校長は、「障害が重ければ重いほど、重度であればあるほど、受け入れ先は少なくなってきます。美鈴さんは自分が納得できるような事業所を真剣に探していらっしゃる。私はそういう気がします」と話します。

美鈴さんは、今すぐには答えは出さず、自分たち家族のニーズにあった安心して預けられる居場所をもう少し考えてみることにしました。

母 美鈴さん
「綾香が自分のここならっていう道を見つけるための留年。この子にとって一日一日、幸せに生きていくためにはどうしてあげないといけないかなっていうのを、もうちょっとじっくり夫婦で考えたいっていうのもあります」

母 美鈴さん 撮影用の収録マイクを手に
「やった! 貸してもらい! いいって。すごい。いい時間。いい経験させてもらったね。写真残して、先生! こんな経験できんですよね。ちょっとママも持たせて」

次の居場所が見つかるまで、綾香さんは日中も自宅で過ごします。そして美鈴さんは、そばで見守り続けることになります。

~美鈴さんのインスタグラムより~
「重い障害を伝えられた時の衝撃。気管切開をする決断。医療的ケアを一人でする不安。涙・涙の毎日が、皆で支えあい笑顔に変わって今日がある事が何よりも嬉しい!!』

美鈴さんの次の目標は、綾香さんと「二十歳のつどい」に出席すること。いつかは家族で海外旅行にも行きたい…。

綾香さんを、家族とその周りが一緒になって支える “チーム綾香” の存在が、これからも必要です。

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【取材を終えて】
医療的ケア児は学校も病院もどこへ行くにもとにかく24時間つきっきりで介護が必要で、家族の負担をどうやったら減らせるか本当に大きな課題です。

家族が休める「レスパイト」が必要だと言われていますが、泊まりで預かってもらったり日中に預けたりできる施設はまだまだ十分ではありません。

綾香さん卒業後はしばらく自宅で一緒に過ごすことを決めた美鈴さんですが、「では自分たち家族が歳をとったときはどうすればいい?」と不安は尽きないといいます。

実は医療的ケア児をめぐっては全国的な動きがあって「医療的ケア児支援センター」というのが各都道府県に設置されています。

広島県でも新年度にこのセンターを設置して、家族の相談にのったり(医療・福祉と幅広く関わる問題なので)関係機関との調整にあたったりすることになります。

「医療的ケア児」をめぐる課題を多くの人に関心をもってもらうこと、社会の支援体制が整うことを願います。

中国放送(RCC)報道制作センター 森元たか子