最大の難敵は…
ただ、10億分の1の重力変化を捉えるということは、地表のちょっとした変化にも影響されてしまうそうです。
本多 主任研究員:
意外と思われますが、一番厄介なのは雨なんです。

雨が降ると、その地域一帯に数mmの水の膜ができたり、地中に留まることになります。その際、雨水にも質量があるため、極わずかですが、重力が大きくなるそうです。これが相対重力計にとっては地下深いマグマの変動による重力変化なのか、判断する上でデータの雑音になってしまうのです。
2019年に設置されてから2022年まではこの雨の影響の確認を丹念に続けてきました。
そして今年1月には富士山の4合目登山道の傍に2台目の重力計を設置、より精度の高い観測をすることが出来るようになりました。

研究所と4合目との標高差は約1000m。
本多 主任研究員:
これで、重力変化の要因を特定しやすい観測体制になった。この標高差のある2点で観測することにより、マグマの上昇をより正確に捉えることが出来る。上昇していた重力観測値が下がったからマグマの位置が下がったのではなく、マグマが重力計より上に上がったために観測値が下がる場合もあり、標高の違う2点で観測することにより、その違いがわかる。
300年間、静かな富士山の噴火の兆候をとらえることが出来るのか。
山梨県富士山科学研究所 本多亮 主任研究員:
ここがやっとスタートラインです。これから地道に雨と戦いながら どういう重力変化があるのかをひたすら見て行くということです。