日韓共同会見は12年ぶり…“シャトル外交”復活表明

3月16日夕方、総理大臣官邸に入った尹大統領。岸田総理大臣との日韓首脳会談が行われました。
共同記者会見も12年ぶりです。

岸田総理
「今回の尹大統領との首脳会談において、両国の首脳が形式にとらわれず、頻繁に訪問するシャトル外交を再開させることで一致しました」
岸田総理は、互いが行き来する「シャトル外交」の復活を表明する一方、現時点では韓国訪問の「具体的時期は決まっていない」と語りました。
また、これまで中断していた「安全保障対話」の早期再開と新たに「経済安全保障」の協議を立ち上げると表明。
さらに、歴史認識について「1998年の日韓共同宣言を含め、歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と宣言しました。

徴用工問題をめぐって尹大統領は、韓国側が今後、日本の企業に賠償金を求めることは「想定していない」と述べました。
今後の日韓関係について、尹大統領は…

尹錫悦大統領
「両国の国民間の交流が活発化し、文化や芸術、学術の交流がより盛んになれば、両国がともに得られる利益は非常に大きいと思っています」
岸田総理の狙い“世論の支持”
小川彩佳キャスター:
日韓首脳会談の成果を、日本側と韓国側がそれぞれどう捉えているのか。まず日本政府はどのように見ているんでしょうか?

川西全 官邸キャップ:
総理周辺によりますと、3月16日夜の夕食会で両首脳は予定時間を大幅に超えて談笑し、信頼関係を築いたといいます。国際情勢などを考えれば、日本と韓国が安全保障分野や経済面で連携強化を打ち出せたことも間違いなくプラスです。
一方で、政府関係者によりますと、岸田総理は日韓外交については世論が大事としてきました。保守層を中心に韓国への反発がくすぶる中、一気に関係を深めたり妥協すると世論がついてこないのではとの考えがあるようです。
別の政府関係者によりますと、3月16日の会談でも、岸田総理は自身が外務大臣時代に結び、その後、事実上反故にされた慰安婦問題での日韓合意を着実に履行するよう求めたということです。
この機会に日韓関係を正常化したいとの意欲は持ちつつも、「言うべきは言う」との姿勢を強調することで、幅広い世論の支持を得たい、こんな思惑が垣間見えます。
小川彩佳キャスター:
一方で韓国の尹大統領に同行取材をしている渡辺ソウル支局長は、この成果をどう見ていますか?

渡辺秀雄 ソウル支局長:
韓国政府の関係者は、首脳会談直後の取材に「期待以下」と話していました。
確かに首脳同士によるシャトル外交の復活で、戦後最悪とも言われた関係を改善させるきっかけを作ったことを評価する声もあります。ただ尹大統領が国内で根強い反発があった徴用工問題の解決策を打ち出す政治決断に踏み切り、リスクを負って行った訪日へのお返しとしては物足りなかったというわけです。
特に岸田総理が歴史認識について、「歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ」としたことには、韓国メディアが「直接的な謝罪がなかった」と批判的に報じています。また「日本の誠意ある呼応が出たとは言い難い」との報道もありました。
岸田総理は今後も両国で頻繁に連携し、一つ一つ具体的な成果を出していきたいと話していましたが、両国には引き続き歩み寄る努力が必要になりそうです。














