示されない、関係者の「理解の基準」
それでも、海洋放出に強い反対を示す福島県内の漁業者。
県漁連の野崎哲会長は、その背景に「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする政府の約束があると話します。
県漁連・野崎哲会長「決定のあり方については、我々にその関係者の合意なしには海洋放出をしないという約束を入れたうえでの決定については反対するという立ち位置です」

2月、いわき市で行われた西村経済産業大臣と地元漁業者との意見交換では、政府への不信感を口にする漁業者がいました。
県内の漁業関係者「処理水は漁業者の理解無くして放出はしないということになっているが、我々漁業者が理解を示していないにもかかわらず、春から夏にかけて放出という報道がなされるのはなぜか」
西村経済産業大臣「以前から申し上げている通り、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないという方針で臨んでいる。これからもしっかり丁寧に説明していきたい」

この「関係者の理解」の基準について、西村大臣は・・・。
西村経済産業大臣「何か特定の指標や数値によって一律に判断すべきものではないと思う」
このように話し、明確な判断基準について回答を避けました。
漁業者との約束を反故にし、海洋放出を実行するのではという報道陣の質問に対しては・・・。
記者「仮に県漁連、漁業者からの理解を得られないままの海洋放出も十分あり得るという風に考えてよろしいでしょうか」
西村大臣「皆さんのご懸念を払拭して、理解が深まるように全力を挙げて取り組んでいきたいと。」
「理解が深まるように取り組む」とくり返すに留まりました。
東京電力は、関係者の理解の基準についてどう思っているのでしょうか?
奥秋キャスター「先日も西村大臣が「関係者の理解なしにはいかなる処分もしないという方針はそのままである」という話をしたが、東京電力としてもそういうことでいいのか」
東京電力 福島第一廃炉推進カンパニー・小野明プレジデント「理解ということは、各々の方々の受け止め方だと思う。そうなると、なかなか1つに定義することも難しいですし、何か1つ指標を作って判断するということも私は難しいと思っています」

東京電力も“理解の基準”について明言を避けました。
海洋放出が迫るなか、政府、東電と漁業者との議論は平行線を辿っています。