【全日本柔道連盟のHPより】
「昨今の状況を鑑みるに、小学生の大会においても行き過ぎた勝利至上主義が散見されるところであります。心身の発達途上にあり、事理弁別の能力が十分でない小学生が勝利至上主義に陥ることは好ましくないものと考えます」

全柔連が指摘する「行き過ぎた勝利至上主義」。全国大会の個人戦は2004年から開催され、5年生と6年生が重量級と軽量級の2つの階級に分かれて競うもので「小学生柔道の最高峰」として定着していました。

ただ、保護者が審判に罵声を浴びせたり、子どもたち本人が過度な減量をしたりするなどの現状もあり、全柔連は勝つことだけを目的とした柔道に歯止めをかけたい考えです。

【鳳雛塾 星野力代表】
「私が指導するにあたって、全国大会があろうがなかろうがやることに変わりはないんですね。だから、私個人としては影響はないと思っていました」

鳳雛塾の星野代表は「やることに変わりはない」とする一方で、全柔連が発表した内容に違和感を感じたといいます。

【鳳雛塾 星野力代表】
「発表が唐突すぎたということと、その発表の内容ですよね。『行き過ぎた勝利至上主義』という形で話が出た部分」

この10年の間、県内はもちろん全国の多くの指導者が、女性・ジュニア選手に対し身体的に配慮すべき点や、発達障害の子どもへの指導など、様々な角度から指導方法を学ぼうと勉強会を開催してきました。勝ち負けだけではない、多くのニーズに応えようとする指導者が増えてきたところだったと指摘します。

【鳳雛塾 星野力代表】
「そういったところまで考えてやっている全国の先生方に対して、リスペクトを感じられないな、あの表現は、と感じました」

子どもたちからは、残念だという声が聞かれました。

【5年生】
「(目標は)全国大会に出たいとか。いろいろな人に技をかけて勝ちたいです」
【4年生】
「でも、やっぱり悲しい。練習の成果が目に見てわかるようにしたい」
【6年生】
「負けて悔しかった時、またその相手と戦うかもしれないと思って、その時のために思い切り練習して強くなれるから」

保護者の多くからも、大会の必要性を訴える声が聞かれました。

【保護者】
「人と争うことは悪いことではないと思うんですよ。自分のレベルを確認するというか。そういうことで試合というのは成長に必要な場ではないか」
【保護者】
「(試合は)日頃の成果を試すところでもありますし、子どもが試合に出ることでやる気が出たり自信につながりますので必要だとは思います」