犠牲者49人の惨事に…「救えたかもしれない」苦悩の日々

星雅也さん:
「はっとして、後ろを見たときにはもう来ていましたね。津波が来ていて、もういけるような状態じゃないという感じでしたね。のぼっている最中には、もう来ていたんでしょうね」

波は慈恵園を完全に飲み込み、水は天井のすぐ下まで来ていました。

高齢者68人のうち、救助されたのは28人。しかし、そのうち8人も、まもなく亡くなりました。さらに、職員1人も亡くなり、犠牲者は49人にのぼりました。

星雅也さん:
「津波の想定は基本的にはしていないんです。していないというか、避難所なので深く考えていなかったというのが正直なところ。状況がちょっと変わったでしょうねえ。すぐ逃げれば」

救えたかもしれない、多くの命。星さんは苦悩してきました。

星雅也さん:
「うーん…、当時のことを思い出すと、いまもこういう仕事をしていていいのかなと自問自答する時期ってあったんです、介護の仕事を。もちろん今でもやっていていいのかなという気持ちはあります。ただやっぱりあの経験があったから、さらに今いる入居者の支援を一生懸命しなければいけないなというところはありますね」

想定を上回る津波は、避難所に指定された高台も飲み込みました。

星雅也さん:
「ありきたりですけど高いところに逃げろって、空振りしてもいいから逃げろって。12年たってもそれが一番ですかね。ここでダメな時の避難方法をもうすこしやっぱり。ここは避難所なんですけど、『さらに』というところを見つけておかないといけないのかなと思いますね」