「全国で起こりうる」…現場から約3000km、石垣島「幻の島」ツアーにも事故の影響が及んでいます。知床で沈没した観光船運航会社の社長が自らの「落ち度」を認めた文書を配布していたことがわかりました。
■観光船社長「私の落ち度」とは?遠方の観光地にも影響
観光船事故の影響は、はるか遠く離れた沖縄にも及んでいました。
石垣島のツアーガイド 大浜之浩さん
「お客さんが座るスペースがありまして、前に運転台があります」
石垣島で14年、ツアーガイドを営む大浜之浩さん。15人乗りの小型船を操縦し、潮の満ち引きによって島が現れる“幻の島”と呼ばれる場所まで案内します。
今年のゴールデンウィ-クは多くの予約が入り、コロナ前の活気を取り戻しつつあったのですが…
石垣島のツアーガイド 大浜之浩さん
「入っていた予約2~3件キャンセルになった。事故の懸念で家族に止められたとか、船使うツアーなので怖いのか、キャンセルの理由はわからないがそう思った」
事故後、予約のキャンセルがいくつか入ったほか出航について敏感な客が増えたといいます。
石垣島のツアーガイド 大浜之浩さん
「経験が浅い事業者が事故を起こしてしまうとか全国で起こりうると思う。安全が一番大事で、それから(レジャーを)楽しめる。無理はしないというのが一番の大前提」
■遺族「説明や姿勢に疑問」
Q:安全管理規程の内容を守っていたか(先月27日の会見より)
知床観光船 桂田社長
「はい」
桂田社長は、安全管理規程に違反はないと強調していました。
ところが後日、乗客の家族に安全管理規程で定めた運航基準の違反を認める文書を配っていたのです。
桂田社長(乗客家族に配布した文書より)
「当社(私)の落ち度について。運航基準どおりに当社がKAZU Iの運航を行っていれば、より早期に帰港決定するなど事故の発生を回避できた可能性はあったと思います」
運航基準では、船長が運航管理者である桂田社長と運航ルート上に定めた複数の地点で連絡を取ることなどが決められています。
事故当日、桂田社長は事務所を離れ、事務所にいた社員にも豊田船長と連絡を取るよう指示していなかったということです。
一方、今回の事故で両親と弟の3人を亡くした遺族の男性が取材に応じました。
男性は家族向けの説明会にも出席しましたが、桂田社長の説明や姿勢に疑問を感じたといいます。
両親と弟を亡くした男性
「(桂田社長は)説明している内容があやふや。そもそも物事をあまり知らないだとか、会見中笑うこともあった」