―――医療現場で、タリウム中毒の症例はありますか。
薬師寺泰匡院長: タリウムを経験したことのある医師は相当なレアケースだと思います。中毒情報センターに入ってきている情報だけでも10年で数件とかで、まず疑わないです。司法解剖の際は、血液だったり、尿だったりから薬毒物の分析を行うことになるが、あまたある物質からある程度絞り込んで行かないと見つかるものではなく、タリウムを積極的に第一に疑うかというと、それはあまりないです。 基本的には時間をかけて網羅的に調べていかないと診断にはたどりつかないのかなと思います。月並みの意見になるが、よく診断につながったなというのが正直な感想です。
基本的に、(医師が)死亡診断書を書くときに病名をつけますが、明確に病死であると言えないときだったり、なんらかの事件性が疑われるときには警察に連絡することが義務付けられています。 20代の方が突然、説明のつかないような様々な症状がおこれば、当然、薬物の影響というのは考えていかないといけなくなるので、今回は、なんらかの病気であると断言ができなかった経緯があるのではないでしょうか。














