1日、山形市に住む70代の女性の家に、「三井住友ホームズ」を名乗る男から、天童市内の高齢者施設に入居する権利が当選しました」と電話がありました。
これは、特殊詐欺の予兆電話、いわゆる「アポ電」と呼ばれるものです。

山形県内では、同じようなアポ電が相次いでいることから、この女性は「犯罪に関わるつもりはない」と、毅然と電話を切ったということです。

その後、何度も非通知設定の電話がかかってきましたが、女性は警察に相談し「アポ電」だと分かっていて、被害には遭いませんでした。

もし応じると、「名義貸し」や「示談金」など冷静さを失うような言葉を並べられ、騙されてしまう可能性があります。

今回は的確な対応で、被害を未然に防ぐことができましたが、県内では高齢者を中心に特殊詐欺被害が後を絶ちません。

こうした中、山形県鶴岡市で、日本初の対応訓練が行われました。


28日の昼下がり、鶴岡市の高齢者の男性の家にかかってきた、一本の電話。

電話:「こんにちは。私、市役所介護保険課の高橋と申します。お世話になっております」

女は、市役所の職員を名乗っています。

電話:「昨年の10月頃なんですけれども、こちらから累積医療費還付に関する書類というのを送付させていただいたんですけれども・・・」

女は、医療費の還付について、男性に説明を始めました。

実は、電話口で話しているのは、鶴岡警察署の交番に勤務する、警察官なんです。

県警察本部によりますと、去年、県内で発生した特殊詐欺被害は47件で、被害額はおよそ1億1500万円にも上りました。そして、被害者の半数以上が65歳以上の高齢者となっています。

こうした状況から、警察では被害を未然に防ごうと、28日、全国で初めて、詐欺の予兆電話「アポ電」への対応訓練を行いました。

まず、警察官が高齢者宅を訪れ、被害に遭わないためのポイントを説明します。そして、折を見て…。

再びかかってくる電話。訓練の続きです。

電話:「(医療費還付に関する)まだ市役所の方に書類が届いていないようです」
男性:「私の分が戻るということなんですか?」
電話:「受け取るためには金融機関のATMでお手続きする必要があります。金融機関教えていただければお手続きできますが、どうしますか?」

男性の答えは…。

男性「役所の方にこちらから出向いて申請を直接するという形でよろしいですか?」

事前に警察官に教えられた通りにこたえ、無事、金融機関を教えずに訓練を終えることができました。

男性「こちらの方の焦りを誘うというかそんなところが気持ちを動かす感じになった」



この訓練を考えた、鶴岡警察署の高橋巡査は、犯人と直接話さないことが重要だと強調します。

鶴岡警察署・高橋凜音巡査「電話越しに犯人と話すと、どうして騙されてしまうので、留守番電話設定にすることが一番カギかなと思います」



県警察本部では今後、県内各地で同様の訓練を行っていきたいとしています。