この裁判を追っている新聞社はなかった。ほかのテレビ局もいない。我々だけが取材していた。

「本当に反省しているのですか」

検察官の声が法廷に響いた。

4月9日、山形地方裁判所。

山形地裁証言台

緑色のジャケットを着て入廷した男は、椅子の背もたれに体をあずけ、検察官の声を聞いていた。小柄でやせ型の白髪まじりの男。75歳の男は何を思ったのだろうか。

被害者の女性は23歳。年の差は50歳以上だった。