『体の死斑の位置おかしい』弁護団見いだした新見解

2021年1月、弁護団が提出した11ページの鑑定書。名古屋市立大学で法医学を教える、青木康博教授が執筆したものである。青木教授は弁護団の依頼を受けて、被害女性の遺体の解剖記録や写真を約2カ月かけて精査したという。そこで着目したのが「死斑」だった。
人が死亡して血流が止まると、血液が重力に従って落ちる。それが皮膚の色の変化として現れるのが「死斑」で、現れた場所から遺体がどのような姿勢で置かれていたかが推測できるという。

女性の遺体は、体の左側を下にした状態で発見され、阪原さんも自白の中で「殺害後、遺体をトラックに載せて左側を下にして遺棄した」と話していた。一般的に死斑は、死亡してから約12時間で完成すると言われているため、自白と発見状況を考えると、「体の左半分を中心に死斑ができる」はずである。
ところが、解剖写真や記録を見ると、死斑は「背中全体に出ている」とされ、「左右差がある」などといった記載はない。ここから、青木教授は、「遺体はずっと仰向け、もしくは多少左が下くらいの状態で置かれ、最後に左側を下にして遺棄したと推測される」と結論づけた。

(名古屋市立大学大学院 法医学分野 青木康博教授)
「私は普段、検察や警察と一緒に仕事していますけど、この死斑の状況で、(容疑者が)『最初から側臥位(横向き)に置きました』と言ったら、(捜査員は)『それお前違うだろう』と容疑者に対して言うはずです。言うべきです」
自白と解剖記録の食い違いに気付かなかったのか。当時の滋賀県警の捜査主任は、MBSの取材に「20年以上前のことで覚えていない」と話した。