遺族でありながら現地を訪れることができない…
新型コロナの感染拡大以来、遺族はニュージーランドを訪れることができていません。

22日の追悼の集いでは、遺族一人ひとりが、亡くなった家族に祈りをささげ、花を手向けました。

集いのあと、娘を亡くした父親4人が取材に応じました。当時19歳の紗央莉さんを失った金沢市の菊田邦俊さん(72)は…。
菊田邦俊さん:
「12年が経ったからうんぬんかんぬんの問題ではなくて、自分たちにとっては12年前の思いは本当に変わることなく続いています。いまトルコで大きな地震、パンケーキ状態をみると、どうしてもCTVビルとかぶって、はっきり言って1回見ればもう十分です。生かされていることに感謝ということをどなたかおっしゃっていましたが、その通りだと思う。命ある限り亡くなった12名のことをなるべく皆様の思いの中にとどめておくような、私たちとしても追悼の意を表していきたい。これは12、13年たっても変わらない思いです。できることなら現地に行きたいけど、いまのコロナ禍で簡単にはいけないところに、話を聞くと15年目では結構、丁寧な追悼をするみたいな、できたらそのころに行きたい。我々の心情としてはやっぱり警察の訴追を断念したことに関しては、100%納得いくようなことじゃないからどうしようもないかもしれないけど。だからこそしっかり白黒つけてほしかったな。行くべきときがくれば現地へ行きたいなとは…」

トルコ地震で倒壊したビルを見て、CTVビルの倒壊を思い浮かべ、つらい気持ちになった遺族が多かったようです。
当時19歳の沙希さんを失った富山市の横田政司さん(67)は…。
横田政司さん:「12年経ったということで、毎日私は変わらず朝、出勤前に、娘に好きだったアップルティーを供えて、帰ってきたら『ただいま』って挨拶を続けていて、寂しい限りではあるんですが。それと今回はトルコで地震があってパンケーキ状態で崩れているビルを見ると非常に悲しい思いがよみがえってきますし。ことしは非常になお悲しい追悼を迎えている状況で、学生の歌に涙という感じでした、とにかくニュージーランドが早く復興していただきたい。2年前ですかね。ニュージーランド警察が訴追を断念したことで、結
果的に犠牲になった方々や娘に対して思いが伝えられない。とにかく誰かが責任をとるべきだと私は考える中で誰も責任をとっていない。この気持ちでニュージーランドに行けるかなって個人的には気持ちの整理がつかないと、ニュージーランドの地は踏めないのかな。ここ数年はまだ行くような気分にはなっていない」

当時19歳の佳世さんを失った高岡市の金丸直弘さん(64)は…。
金丸直弘さん:
「ことしが12年、日本でいう13回忌になります。ただ私たち遺族は全員当時の気持ちと全く変わりはないし、本当はニュージーランドに行ければと私は思っていたけど、やっぱりコロナのこととかもありまして、行けなかったことが残念でした。CTVビルに入って手を合わせたいなって気持ちはみんな同じです」
亡くなった娘は19歳…成人式のニュースを見ると、胸が押しつぶされそうになったと遺族は語っていました。19歳のめぐみさんを失った富山市の堀田和夫さん(68)は…。


堀田和夫さん:
「毎年思っているけど我々が受けた災難というか、そういうことをいつも毎年毎年きょうという日を迎えるにあたって考えています。なにしろ災いというのは時を選ばず、場所を選ばず、ましてや人を選びませんので、その点を考えると本当につらい。どう考えてもうちの子というか皆さんがこんな目にあわなければいけないのか、それをずっと考えると胸が締め付けられる。言葉がないというか本当に悲しい一日を過ごさなくちゃいけません。この気持ちはほかの人には味わってほしくない。原因を作った人間が罰せられず生きている。それに対して親は何もできない、まどろっこしさがあるので、本当は現地に行ってどういう状態なのか聞かないとわかりません。ただ我々はあきらめていません。もう一段時間と労力をかけて原因の作り出した人間を罰せられるか、現地の遺族の人たちと検討したい。ですから私は来年行く予定です」

3週間ほどの短期留学に送り出したのに…地震の犠牲になった娘、12年経っても気持ちがいえることはありません。
