「ネコは家の中で飼う」野生動物とネコのために出来ること

環境省はネコの室内飼いを推奨していますが、奄美大島で動物病院を営み、最前線で動物と向き合う伊藤獣医師もネコのため、人のためにも「室内飼い」が大事だと訴えます。

伊藤獣医師と取材当日に保護されたサシバ

奄美いんまや動物病院 伊藤圭子獣医師
「室内飼いをすることで、ネコが近隣に迷惑をかける、交通事故に遭う、寄生虫や病気(猫エイズや白血病ウイルスなど)などのリスクを減らし、さらに人にとっても近年感染が拡大し問題となっているSFTSへの感染リスクを限りなく減らすことができます」

SFTSは重症熱性血小板減少症候群のことで、マダニや、マダニにかまれたネコやイヌを通じて人にうつる感染症です。致死率が10%〜30%と高く、対症療法以外の有効な治療はないなど、非常にやっかいな感染症です。

室内で飼うことで野生動物への被害も当然なくなります。

一方で、現在も多くのネコが外飼いされている現状については、メディアの影響が大きいと指摘しました。

奄美いんまや動物病院 伊藤圭子獣医師
「ネコが外で寝そべっている様子を写真集にしたり、映像にしたりして癒やされる風景として紹介する。もうそんなことは終わりにして欲しい。メディアの力は強く、そういう映像が流れれば、ネコが外にいる風景が当たり前だと人々は思ってしまう。犬が外に一匹でいたら迷子かな?と思いますよね、ネコもそうなって欲しいんです」

ネコとどう付き合うべきなのか? 譲渡先の住民

奄美大島に暮らす重山さん夫妻は「ノネコ管理計画」で捕獲された2頭のネコを引き取り「室内飼い」をしています。

重山夫妻とネコの玄君 玄君は好奇心旺盛

ーーなぜ捕獲されたネコを引き取った?

重山絵理さん
「道で会う野良ネコを見ると切なくて、みんなに家があればいいなって思っていて引き取りました。ペットショップで買うという選択肢はないです。それに野生動物にも優しくて野良ネコも幸せな家が見つかるのでとてもいいことだと思ってます」

重山さん夫妻はネコは家の中で飼うべきだと訴えます。

重山絵理さん
「(家の中なら)事故に遭わないし、他の猫と喧嘩して怪我とか病気にもならないし、何より、奄美大島は台風も多いから室内飼いの方がいいなと思います」

小夏ちゃんはカメラが苦手で、じっとこちらを見ていた

ーー奄美大島で起きている問題についてどう思いますか?

重山絵理さん
「人間たちが猫を放棄したり遺棄したりとかで起こっている問題で、人間の身勝手さが原因

重山祐一郎さん
「責任を持って最後まで飼ってくれたら嬉しく思いますね、ネコは家族ですから