日本一を成し遂げた仙台育英の内野手、洞口優人さん。洞口さんは、東日本大震災で大きな被害が出た岩手県釜石市の出身で、不自由な練習環境を克服し栄冠をつみました。その道のりと新たな挑戦を取材しました。

仙台育英・洞口優人選手の「野球の基礎」

去年、夏の甲子園を制覇した仙台育英3年生の内野手・洞口優人さんです。

東日本大震災の被災地、岩手県釜石市の出身で、幼い頃からひとり、「素振り」と、この「壁当て」に黙々と取り組み、野球の基礎をつくりました。

仙台育英 洞口優人さん:
「練習場所がないからこそ、壁あてをやっていたというのはあります。バウンドへの入り方とか、グラブの出し方とか、基礎的な面で技術が身に着いたと思います」

釜石市鵜住居、ここが洞口さんが生まれ育った町です。

震災が起きたのは6歳の時、洞口さんと家族は避難して無事でしたが、押し寄せた津波に自宅を流され、6年間、仮設住宅での生活を余儀なくされました。

不自由な暮らしのなかで心に灯をともしてくれたのが野球でした。

「素振り」と「壁当て」で力をつけ、中学2年の時には硬式野球の東北代表に選ばれ、台湾遠征を経験しました。仙台育英に進学したのは、その時出会った仲間と一緒にプレーするためでした。

好守に気迫あふれるプレーが持ち味で、最後の夏、守備のスペシャリストとして起用されました。