電通側は2016年から入札意識か?特捜部が押収した内部資料
入札は電通にとって誤算だったのか?取材ではそうとも言い切れない事実も判明した。電通が、入札の2年前2016年の時点で、すでに入札を意識していたともとれる資料が存在することがわかったのだ。組織委に出向していた電通社員が電通の社内会議用に作成したプレゼン資料だ。そこには「テスト大会・本大会いずれも入札になる可能性がある」とした上で、「電通として、上層部は組織委と、現場レベルでは各企業と連携するべき」「電通の利益のために、適切な人材を組織委に送りこむべきだ」という趣旨の内容が記されていたという。
取材に応じた電通関係者は、資料は上層部には伝わっておらず「現場レベルが作成したもので社の意志ではない」としている。しかし実際に入札は談合により“形骸化”された。特捜部もこの資料を押収していて分析を進めているものとみられる。(電通広報はJNNの取材に対しこの資料について「当局による捜査・調査に支障をきたす可能性がありますので、回答は差し控えさせていただきます」と回答)。
五輪事業の入札は談合で歪められたのか。巨額の公金が投入された事業の「値段」は適切なものだったのか。全容を解明し、検証が行われなければならない。
取材に基づく年表
2014年4月 電通 組織委から「マーケティング専任代理店」に指名と発表
2016年 電通出向社員 入札の可能性踏まえた内部資料作成
2017年3月 組織委上層部 電通に経費削減依頼
2017年7月 組織委上層部 電通に専任代理店の手数料50億円の削減依頼
2017年夏頃 電通と元次長「一覧表」作成開始か
2017年秋頃 ある企業が電通からテスト大会の協賛金依頼受ける
2018年3月まで 組織委がテスト大会計画業務の入札実施を決定
2018年4月ごろ 「一覧表」更新続く
2018年5月 談合疑惑のある入札開始
TBSテレビ社会部司法クラブ 佐藤浩太郎 米田祐輔 長谷川美波