気球を飛ばす目的は「ピースのアップデート」か

―――でも気流に乗れば、中国から海を渡ってアメリカ大陸まで飛行することが可能なんですね。

黒井文太郎さん: 通常そこまで遠くには飛ばさないんですが、高度によってそういうことが可能ですね。ただ上空の気流は天気ですから変わるんですね。思ったところに狙って、そこの上に行かせるというのは現実的に難しいと思います。

―――どうして中国は気球を飛ばしているのかというところなんですけども。目的はどのように見ていますか。

 ピンポイントで特別な作戦でどこかを偵察したいというよりは、要はアメリカ本土も含めて基地も含めて常に情報を集めたいわけですね。そういった情報を集めるのに、もちろん衛星も使えますが気球を飛ばせば高度が低いから何かしら情報が取られる。何か特殊な作戦というよりは、常日頃から行っている情報収集の一環ではないかなと思うんです。

 それぞれの情報はピースとして、あまりそんなに重要でもないんですけれども、中国は実はこういったピースを集めて分析する巨大な分析機関を持ってるんですね。それを刻々とアップデートしていかなきゃいけないので、そういった情報集めだったんではないかなと思いますね。