福島県いわき市の久之浜町は、東日本大震災で津波と火事の2つの災害に見舞われました。その久之浜で和食のお店を開いた地元出身の男性がいます。地元の魚を通して、人と人をつなげたいと話す男性から復興を考えます。

●和食処とのがみ・新妻篤さん「夜は寂しいというか、住宅がないので暗いですかね。」

そう話すのは、いわき市久之浜町で和食のお店を営む店主の新妻篤さん。

津波が襲った海に近いこの場所には、大きく育った防災林がそびえ、通りからかつてのように水平線を見ることはできません。

●和食処とのがみ・新妻篤さん「入ってきたくても、がれきが山積みで入れない。ガスのボンベが爆発しているような状況(だった)」

12年前、いわき市の北部に位置する久之浜町は、震災の津波で69人が犠牲になりました。

●高橋諒記者「久之浜です。大変激しい火事になっています。」

久之浜地区では、住宅火災も発生し1.5ヘクタール、71戸が全焼する2次災害が発生。

●和食処とのがみ・新妻篤さん「あーこんなに変わっちゃうんだなと。神社がひとつぽつんとあるような状況で実感が湧かない。映画でも見ているのかなと」

その後、がれきの撤去や地元住民が集える商店街ができるなど少しずつ復興に向けた取り組みが進むなか、いまから6年前、復興を象徴する商業施設「浜風きらら」がオープン。

震災前は市内の宿泊施設で働いていた新妻さんは、ここで念願の自分の店を構えました。お店の名前は「和食処とのがみ」。

震災前から地元の人たちに「とのがみ山」として親しまれている岬から名前をとりました。