この春、ボクシングの強豪校への進学を目指す中学3年生がいます。
実はキックボクシングの実力者で、1月開かれた全日本大会ではチャンピオンに輝きました。
過去の栄光を捨て、ボクシングに転向するそのわけは?

長野市の村澤道場。
キックボクシングのプロを目指す練習生たちが集まってきます。
会員はおよそ30人。小学生も…仕事を終えた社会人も。
週に4日、この道場で汗を流します。

館長の村澤紀夫(のりお)さん・72歳。
格闘技歴は60年。
選手として活躍し、およそ20年前に開いた道場からは6人がプロの世界へと羽ばたいていきました。
そんな村澤さんが情熱を注ぐ1人の練習生がいます。

「裸で殴り合っているスポーツなんですけどその裏側にはお互い称えあったり褒めあったりというスポーツマンシップのきいたスポーツ」

須坂市の中学3年生、白戸悠輝(しらとゆうき)さん。
小学5年生の時に入門して以来4年間、週4日欠かさず通い続け、1月、念願のジュニアチャンピオンに輝きました。
出場したのは、ライズノバが主催する全日本トーナメント。
アマチュアキックボクシングの最高峰といわれる大会です。
他団体のチャンピオンなど4人がエントリーした中学生以下、ジュニアの50キロ級。
白戸さんは決勝で空手の世界王者を破り、初出場ながらチャンピオンベルトを勝ち取りました。

「7キロという大きな減量もあったんですけど、その減量を乗り越えての優勝だったのでとてもうれしかったです、(減量は)相当苦しかったです」

大会を前に、体重7キロを落とすために与えられた猶予はわずか3週間。
村澤館長が鬼になったというトレーニングは、18ラウンドに及ぶスパーリングなど過酷を極めました。

(村澤館長)「(白戸さんの)強さ・・・忍耐力と精神力自分でだめだと思ったらそこで終わっちゃダメなんですよね、いやこっからもう2秒3秒頑張ろうというその気持ちですよね」

(白戸さん)「小さいときからずっとベルトをまくのが夢で最後の大会なので絶対取りたいなと思ってベルトのことだけ考えて練習してたのが唯一の救いだった」

キックボクシングは中学までと決めています。
最後の大会でベルトにこだわったのには理由がありました。

(白戸さん)「4年間教わってきて何にもとれないで終わっちゃうの嫌だなと先生にもお世話になったんでベルトとって恩返ししたいなと」