え?2週間で住民票を取得 役所の担当さえ知らないのが実情

 国は無戸籍問題の解消を政策に掲げていて、「戸籍をつくるための申し立て」さえしていれば市区町村の判断で住民票は得られると通知しています。ところが、役所の担当者でさえ、これを知らない人が多いのが実情です。住民票は健康保険や義務教育など様々な行政サービスと紐づいているため、無戸籍の人は社会のセーフティーネットからこぼれ落ちてしまうのです。
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 中学の頃から何度も一人で市役所を訪れては相談してきたミサコさんでしたが…。

 (ミサコさん)
 「役所に来ても話を聞いてくれないし、自分一人で解決しなくちゃいけないんだなっていう。そこが一番つらかったかな」


 色んな部署をたらい回しにされて話は進みませんでした。ところが市川さんが「国の通知」について伝えると事態は急転。わずか2週間で住民票とマイナンバーカードを手にすることができました。
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 ただ一方で住民票ができると負担しなければならない費用も発生します。国民健康保険料などは最も長くて2年間分をさかのぼって支払わなければなりません。市川さんはミサコさんと市役所に何度も足を運び、保険・福祉・教育など様々な部署の担当者と話し合いを重ねました。

  (担当者)「戸籍が色々な事情でなくても病院にかかることはあるので、保険に入っていただいて健康保険証をつくっていただきたい」
 (市川さん)「それは分かるんですけど、その権利があることも分かるんです。この支払いを相談できないかって言っているんです。その相談の仕方を知らないんです」
  (担当者)「税金の方は『納税の義務』とはうたっていますが、今はそれより生活を良くしてもらう方が先だと思うんです。その間うちの方は全然待つのは…」
 (市川さん)「でもね、これ(督促状)が来ちゃうと怖いので」
  (担当者)「これは税金の制度上、督促状はどんな事情があっても出さなきゃいけないんですよ」
 (市川さん)「これを無視し続けて、ある日突然大きなことになっても困るので」
  (担当者)「でも、そうならないためにこうやってお会いしているわけじゃないですか」

 少しずつ問題を解決していきますが、まだ肝心の戸籍取得には至っていません。