奈良に「無戸籍の人を支援する会」がある

 親子心中まで考えた時、インターネットで知ったのが奈良市のNPO法人「無戸籍の人を支援する会」の代表・市川真由美さん(当時53)でした。普段はイベント会社を経営する市川さんですが、7年前から戸籍がない人たちを支援する活動をしています。きっかけは会社でマイナンバーの提出を求めたときに言われた無戸籍だった女性従業員の言葉でした。
5.jpg
 (無戸籍の人を支援する会・代表 市川真由美さん)
 「マイナンバー制度が始まって『もういよいよ出してくれないと困るんだけど』と言ったときに、『自分の住民票が何回市役所に探しに行ってもないって言われるんです』って言うのよ。母親の方に何とか『どこに住民票があるの?』って聞かせたら、『そもそも出生届を出していないよ』っていうことがわかって」
6.jpg
 法務省は戸籍について「人がいつ誰の子として生まれ、いつだれと結婚し、いつ亡くなったかなどの親族的身分関係を登録し、その人が日本人であることを証明する唯一のもの」としています。世界でも珍しい家族を単位とする登録制度です。しかし、出生届が出されていないなどで無戸籍となった人は、国が把握しているだけで約800人、実際には1万人以上に上るという推計があります。
7.jpg
 1人で無戸籍の人を支援するNPO法人を立ち上げた市川さん。「助けて欲しい」と連絡があれば全国どこにでも駆け付けます。この日も埼玉のミサコさんの家を訪ね、戸籍をつくるための裁判所への申し立ての準備を手伝います。

 (無戸籍の人を支援する会・代表 市川真由美さん)
 「ミサコちゃんが産まれた時の領収書?良かったね…とりあえず産まれた時の領収書があって。こういうのがない人たちもいるのよ。これでミサコちゃんの年齢は確定されているわけなんだからさ」