■検証可能な論文でさらなる議論を!
番組VTR直後のスタジオで皆川玲奈キャスターが話した通り、国は今年(2021)からネオニコを含む登録済の農薬の「再評価」を始めます。一度はOKと承認した農薬を、最新知見をもとに改めて検証し、規制や禁止を含めて検討していく初めての試みですが、専門家からはちゃんと機能するのか心配する声が早くもあがっています。
再評価の結果がどうなるのか分かりませんが、その過程においては、ネオニコに懸念を示している科学者や農業従事者、そして私たち市民も納得できるよう、公開性や透明性をもって議論を進めてほしいと考えます。
ネオニコについては番組で扱った発達神経毒性のみならず、2016年以降、生殖毒性や免疫毒性を示す論文も多数報告されていて、マウスの母体から胎児へのネオニコの移行についても研究が進んでいます。子どもたちの将来を考えれば、これらの検証は特に重要です。
こうした建設的な議論の契機になることを願い、ほんの一部だけですが、今回、農薬工業会側と専門家側との見解の違いをご紹介しました。改めて、詳細はそれぞれのURLなどからご確認ください。
曲がり角を迎えている日本の農業のこれからを考える上で、農薬についても引き続き目を向けていく必要がありそうです。さらなる議論の盛り上がりに期待したいと思います。
情報提供は、番組ホームページからお寄せください。
執筆者:TBSテレビ「news23」編集長 川上敬二郎