こうした交通弱者を増やさないためにどのような支援が求められるのか、専門家に聞きました。
福島大学・吉田樹准教授「今の高齢者は若い世代の時から車を使う生活しかしてこなかった」

こう話すのは、地域の交通政策を研究する福島大学の吉田樹准教授です。
吉田准教授は、サービスを提供する行政と利用者との対話が十分に行われていないことが県内の交通支援の問題点だと指摘します。
吉田准教授が交通支援の例としてあげるのが、会津若松市湊町(みなとまち)で2017年から始まったその名も「みなとバス」です。
湊町は猪苗代湖に面していて、人口はおよそ1500人で高齢化率はおよそ41%と、市全体と比べ高齢化率が11ポイント高い地域です。

「みなとバス」は、利用者が事前に予約することで、自宅と地区内のバス停や郵便局を始めコンビニまでの間を送迎します。
このサービスは、国や市の補助金で運営されていて、当初、無料でしたが安定した財源を確保するためおととしから有料化となりました。
利用者は1日300円、1か月で1000円、1年間8000円と、3つのプランを選んで利用することができます。

現在は、1日10人以上の地域住民がこちらの交通支援を利用しているということです。
また、バスを運営するNPO法人では、月に1度、住民らが集まりサービス向上に向けた話し合いを行っていて、住民が抱える問題点を地域全体で共有しているということです。

自治体などは、一方的に交通サービスを提供するだけでなく、地域住民とコミュニケーションをとって、それぞれの課題にあった支援を行うことが求められます。