静岡の今を伝える「インサイト」「SDGs」です。静岡県伊豆半島の山と海に囲まれた小さな宿では、森を整備する中で出た木材を燃料にエネルギーの自給に取り組んでいます。電気代やガス代の値上がりが深刻な問題となっている昨今、注目すべき“持続可能”な取り組みです。
自然との調和を重視する静岡県西伊豆町のペンション「ロッジモンド」。自慢は木でデザインされた客室です。壁に使われる木材のほとんどは従業員が伊豆の山から切り出したもの。そして、施設内で使用するエネルギーも木から生み出します。
<ベーストレス 松本潤一郎代表>
「ここにある木質バイオマスボイラーですね。薪を燃料にしたボイラーです」
2022年から導入したのが、ガスではなく、薪を燃料にしたボイラーです。
<ベーストレス 松本潤一郎代表>
Q.どういった仕組み?
「ここで薪を燃やしてタンクの中をお湯にして、できたお湯の中を水道管が熱交換器を通して、通る過程でお湯になって、宿泊施設の給湯と暖房にまわっている仕組みになります」
薪に火をつけ、タンクの中にある水をまず温めます。このお湯の熱で熱交換器が間接的に温められ、このまわりを水を循環させ、施設内で使うお湯をつくります。宿泊客用の大浴場やキッチンなど、施設内で使うほぼすべてのお湯は、この方法で自給しています。
<ベーストレス 松本有加理さん>
「どれくらい温かいお湯が持続するのかとかは心配がありましたが、今はもう慣れてきて心配はない。むしろ今はガス代もすごく高くなっているし、化石燃料を使っていない。ちょっとした良いことをしている気持ちもあったりして、そんなに不便は感じていないです」
以前のガス代は多いときには20万円にもなったそうですが、薪を燃料にしたボイラーに変えてから8千円程度になりました。地球に優しいだけでなく、費用的なメリットもあったそうです。
「ロッジモンド」を経営する松本さんは、山の中の古道をマウンテンバイクで駆け抜けるツアーなど、伊豆の自然と融合したアクティビティを提供しています。ボイラーに使う薪は、山の古道を整備する過程で出たものを利用しています。
<ベーストレス 松本潤一郎代表>
「ここは僕たちが5~6年前に木を切って搬出した場所です。昔は日が当たらずに、草も生えない真っ暗い森でしたが、今は日が入るので、下草が生えて若木が生え始めて、新しく森が若返っているところ」
間伐により森に陽が差し、新芽が育つ健康な姿となる。松本さんは山に人の手が入ることはプラスの面もあると話します。
「ロッジモンド」では、体験プログラムも用意。宿泊客が薪を割り、その薪で沸かした風呂に入るという“自給自足”を体験できます。
<ベーストレス 松本潤一郎代表>
「中々、自分で薪から火をおこし風呂を沸かすという経験も出来ないので、薪の力や木の燃える力とかも面白がってくれますね」
伊豆半島にある山と海に囲まれた小さな宿。松本さんはこの場所に可能性を感じています。
<ベーストレス 松本潤一郎代表>
「なぜ伊豆半島に人が来るのかというと、自然を楽しみに来られる方が大多数だと思います。観光と環境整備を同時にできると僕は思っていて、なかなかそういったことをできる環境も少ない中で、僕たちはすごい恵まれている場所にいるのでそれを逆に売りとして、個性として伝えていきたい」
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