「ジェンダー不均衡の解消をなくしては少子化の解決なし」

ーー小倉大臣が担当の男女共同参画、これも環境整備に必要では?

小倉將信 内閣府特命担当大臣:
これも少子化に関わるところとそうでないところありますけれども、私が常々申し上げているのは、ジェンダー不均衡の解消をなくして少子化の解決なしということです。女性が男性に対して5.5倍もの無償労働負担を負っている国、あるいは出産を機に約3割の女性が仕事を続けられない国では安心して子どもを産み育てられないと思っておりますので、男女の性別の区別なく育児や家事に参加をしてもらう、あるいはキャリアを追求したければ存分に追求をしていただけるような社会の実現をなくして少子化の進行は止まらないと思いますので、もちろん男女共同参画はそれ以外にも様々な点がありますけれども、そういったことも意識しながら今の担務をこなして行きたいと思います。

子どもが熱を出して会社に行けない…「もうそれでいい」という社会

ーーフィンランドなど北欧に行って実際に見てきたとか。向こうとこちらで取り入れた方がいいものとか、これは日本中に合わないとかお感じになりましたか?

小倉將信 内閣府特命担当大臣:
働き方改革で言えば、いっぱいあります。
全部は言えないですけれども、例えば子どもが熱を出したときの親の働き方ですね。多分日本だと、何としてでも親が職場に行って仕事をこなさなきゃいけないということで、病児保育の体制をどう充実させようかって議論になりがちですけど、スウェーデンやフィンランドの人と議論すると、「子どもが熱を出して当日会社に行けなくなりました」と言っても「もうそれでいい」と、「出てきたときに自分の仕事をこなしてくれればいい」という社会なのですね。だから、そういう社会じゃないと子育てしながら仕事を続けることが男女共にできなくなると思うので、制度も充実させますけれども、社会意識を変えていくことにも取り組まなければいけないと感じました。
ある種の寛容性というか日本人はすごく真面目で、1人1人が責任を持ってきちんとやるのだけれども、それで逆に社会が窮屈になっちゃっている。やった結果、北欧の人たちよりも(日本人の)生産性が高いかというと、今や1人当たりGDPも所得もそういう働き方をしている北欧の方の方がずっと高いという現実を受け止めた上で、これまでの働き方や社会のあり方を見直していく必要があると思います。

孤独・孤立も 全体として解決をしていかないと…

ーーもう一つ、孤独孤立対策担当でもいらっしゃるということで、母親の孤独ってあるじゃないですか。考えてみたら繋がっていますね。

小倉將信 内閣府特命担当大臣:
孤独・孤立も広範囲に及ぶ話題でして、全ての世代に孤独・孤立は存在します。
全体でいえば、「強い孤独を感じている」人の割合は1割前後ですけれども、「何らかの孤独を感じている」人の割合は8割です。ですから当然、単身高齢者が増えているので、ご高齢の方の孤独の問題が大きくなっています。
子どもでもいじめや不登校の問題は顕現化しているので、はたから見て孤立はしてないのだけども、子どもの内心を伺うと非常に孤独感が強い子どもも増えているのも事実です。
川戸さんにご指摘いただいたように子育て世代の孤立というのもあります。ただでさえ子育ては心身ともにプレッシャーが大きい中で、今は核家族です。また専業で子どもを育てる方であっても、24時間ずっと接していたら相当な負担だと思います。孤独に感じる、誰も相談できないという状況にあると思いますので、子育て世代の孤独や孤立をいかに解消していくかというのも実は、少子化対策や子ども政策に関わっています。私の担務もそういう意味では、ありとあらゆるところが全て関係していて、それを全体として解決をしていかないとこの国の社会課題の解決は実現しないので、常にそれぞれの政策の関連性を意識しながら、有効にそれぞれが有機的に機能するように心がけてまいりたいと思っております。不退転の決意で頑張ります。