インフラ監視では「異常」を画像から判断可能に
この画像鮮明化技術は、幅広い業界から注目を集めている。この日のセミナーには、電機・電子部品メーカーやカメラ・映像機器メーカーをはじめ、商社、情報通信・IT、ドローン・ロボティクス、放送・メディア業界など114の企業・団体の約200人が参加した。
ロジック・アンド・デザインの佐藤公明代表取締役社長は「世界初の画像鮮明化アルゴリズム搭載半導体チップ、我々はLISr-RISA®(リサ・リサ)と呼んでいますけども、開発完了のお披露目の日を迎えることができました」と挨拶。「画像鮮明化の技術を小型カメラすべてに搭載したい。画像の世界でリサが入っているということを実現したい」と語ってきた夢を、コロナ禍や半導体不足などを乗り越え約10年かけて実現できたことを報告した。
セミナーでは、リサ・リサの技術によって課題解決が実現する分野として、インフラ監視、生産工程の自動化を図るシステムの総称であるファクトリー・オートメーション(FA)での製品検査、自動車などのモビリティ、防衛、医療の5分野が紹介された。
このうち、橋やトンネル、港湾、鉄道などのインフラ監視では、事業者が求めているのは設備の安全性を高め、保守コストを下げ、人手不足を補うこと。そのためには異常を早く見つけることが必要になる。
例えば、橋脚を一般的なカメラで撮影すると、表面は滑らかであるかのように映る。
しかし同じ橋脚をリサ・リサ搭載のカメラで撮影すると、表面の状態が微細に映し出され、ひび割れや亀裂などの異常を画像から判断することが可能になった。

また、夜間や悪天候による視認性が低下した環境でも、従来ではあり得ない鮮明化を実現する。夜間にトンネルの壁面を魚眼レンズで撮影すると、通常のカメラではほとんど何も見えない。
それが、ドライブレコーダーなどを開発するユピテルが試作したリサ・リサ搭載のカメラでは、壁面の状態がしっかり映る。AIを使って状態を判断する際にも、鮮明化された映像があることでより正確な判断ができるようになる。

5分野の中でも、問い合わせが増えているのが防衛分野だ。防衛分野ではドローンの活用が重要度を増している。ドローンには大型レンズを積むことができないため、小型のレンズで静止画や動画を撮影しているものの、画質が犠牲になっていた。
加えて、悪条件下での撮影では、草木を人間と誤認識することも少なくなかった。それが、リサ・リサによってドローンの重量を増やすことなく鮮明な画像での確認が可能になり、誤認識も減った。それにより、防衛上の意思決定に必要な情報をより得やすくなった。
このほか、防災や防犯の分野でも、夜間や悪天候の状況下であっても現場の状況をより把握できるようになる。鮮明化した画像自体はAIによる生成や加工をしていないため、裁判資料としての採用が可能だという。
セミナーではドローンやドライブレコーダー、それに水中ロボットのメーカーも、リサ・リサを活用した製品の開発状況を説明した。会場には開発中の製品なども展示され、担当者が参加者の質問に答えていた。














