海の中を漂う買い物かご。鹿児島県民にとってなじみのあるホームセンター「ニシムタ」の文字が正面に見え、どことなくシュールさがにじみ出ています。撮影されたのはおよそ900キロ離れた静岡県の伊豆半島沖でした。


(ダイビングインストラクター 矢北拓也さん)
「海に入ってすぐぐらいのところ。かごは割と短い期間で沿岸にたどり着いたのかなという印象、きれいだった」

かごを発見した静岡県伊東市のダイビングインストラクター・矢北拓也さんです。今月20日、伊豆半島の東側のポイントを潜っていところ、買い物かごを発見。



回収し書かれている文字をインターネットで検索したところ、鹿児島のホームセンターと判明。ツイッターに動画を投稿すると、「きょう買い物に行って、かごを使いました」「時の流れ、潮の流れ、ロマンを感じる」など鹿児島や全国から200件以上のコメントが寄せられました。



年間およそ300日海に潜るという矢北さん。珍しい魚などを撮影し、SNSに投稿していますが「買い物かご」は初めてだったといいます。


(ダイビングインストラクター 矢北拓也さん)
「乾いてあまり目立たないが、よく見ると、これがフジツボ。隙間、網目状になっているところを取り囲むように付着していた」

ニシムタは離島を含め、県内24店舗と熊本と宮崎にも展開しています。生鮮食品や日用雑貨、家電、資材などを販売するホームセンターです。

買い物かごは通常、店の敷地内でのみ客が使うため、どういう経緯で900キロ近く離れた静岡まで流れ着いたかは分かりませんが、矢北さんは黒潮に乗って太平洋を旅してきたと考えています。



(矢北拓也さん)「かごが黒潮で沖側を流れているときに、沿岸に向かう風につかまって、伊豆半島の方に寄せられてきたのではないかと思う」

海中で出会った漂流物をきっかけに、鹿児島への関心が高まったという矢北さん。来月、仕事で鹿児島を訪れた際にニシムタに立ち寄る予定で、かごを持参するかどうか迷っています。


(矢北拓也さん)「ゴミの話題となると、拡散されるとネガティブな話になってきてしまわないかなとすごく心配したが、平和でした。ニシムタというお店が鹿児島の方々に愛されているのを感じた」

ニシムタは「これほど話題になっていることに驚いている。矢北さんにお会いしてみたい」とコメントしています。