過去の災害の教訓からいざという時の行動について考える「防災スイッチ」。12年前の1月26日、霧島連山の新燃岳でおよそ300年ぶりとされる本格的なマグマ噴火が発生しました。当時の教訓や備えについてふもとの住民や専門家に聞きました。
2011年1月26日、新燃岳でおよそ300年ぶりとされる本格的なマグマ噴火が発生。噴煙は火口から7000メートルの高さまで上がり、2日間で噴出した軽石や火山灰などの量はおよそ7000万トン。噴出物は桜島の10年分に相当します。
霧島市では、空気の振動=空振でホテルのガラスが割れたり、およそ1000度の火山弾が立入規制区域を超え、山火事が発生しました。
(鹿児島大学 井村隆介准教授)「大きな人的被害が出なかったのは幸運以外の何ものでもない」
霧島山の研究を続ける鹿児島大学の井村隆介准教授です。12年前の噴火の際、前兆現象はほとんどなかったといいます。
(井村准教授)「山体膨張も観測されていたが、この規模の噴火が起こることは直前になっても分からなかった。火山学的にも霧島で数百年に1回、日本でも数十年に1回起こるか起こらないかくらいの規模の大きな噴火」
火口からおよそ3キロの場所にある高千穂河原ビジターセンターです。霧島山の自然や歴史をパネルや映像で紹介しています。屋根を補強するなど去年8月にリニューアル。
去年、新燃岳の噴火を想定した訓練が初めて行われ、登山客の避難誘導の手順などを確認しました。12年前の噴火では、施設周辺に火山灰などが6センチ積もったこともあり、スタッフは日ごろから登山客に災害に備えるよう呼びかけています。
(高千穂河原ビジターセンター 梅北正実さん)「災害が起きた時に登山客らを誘導したり、避難させることが大切。装備、気象情報、火山情報を入手して霧島山に来てほしい」
新燃岳からおよそ6キロ離れた霧島市牧園町の温泉街です。
(焼肉厨房わきもと 脇元敬さん)「あそこの病院の窓が割れて、入院患者がけがをした」
飲食店を経営する脇元敬さん(53)です。客の7割が観光客で、噴火直後は売上が半分ほどになりました。現在、コロナの影響も残りますが、客は噴火前の8割まで戻りつつあります。
当時、近くのホテルや飲食店のメンバーで、火山灰が降り続けた宮崎県高原町の避難所へ行き、炊き出しを行いました。灰色の街を見て、火山災害の怖さをあらためて認識したと話します。
(脇元敬さん)「風向き次第では霧島市側のほうに被害が出たかもしれないというのは(避難所に)行ってみて、だいぶ不安感をおぼえた。できる限りの準備、心構えをしたうえで経済活動をして、努力していこうと思う」
新燃岳は2017年と2018年にも噴火。今月に入って火山性地震が増えた時期もありましたが、去年8月から噴火警戒レベル1が続いています。
井村准教授は「表面的にはおとなしく見えても、いつ噴火が起きてもおかしくない状態」として、普段からの備えの必要性を訴えます。
(井村准教授)「霧島山の地下にはマグマが蓄えられていて、次の噴火の準備が終わっていると考えたほうがいい。噴火するのが火山。何もない時はたくさんの恵みを享受すればいいが、一方で自然は次の噴火の準備をしている。私たちも次の準備をしておかなくてはならない」
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