カメラが捉えた、部署を越えて助け合う“優しさ”
山本さんのカメラが追うのは、俳優だけではない。
#13では、別班が誇るスーパーコンピューター・AIハヤト(声・高山みなみ)の部屋の裏側を紹介。700枚を超えるLEDパネルで360度を囲んだセットで、映像をリアルタイムにコントロールするスタッフの奮闘も映し出された。前例の少ない撮影を前に、LEDオペレーターからは無事に終わることを願う本音も。福澤克雄監督が撮影方法を模索し、巨大なLEDを前に堺から次々と芝居のアイデアが生まれていく過程まで、カメラは追っている。
また、#17では、シャキ城に捕らわれた別班員5人に施す、拷問による傷の特殊メイクの工程にも密着した。山本さんがスタッフに積極的にカメラを向ける背景には、福澤監督が若手に語った「テレビの、あなたたちの未来がかかっている仕事なんだ」という言葉がある。
「V_Logを見た人が『映像を作る世界に入りたい』と思ってくれたらうれしいですし、『こういう業界を応援したい』と思ってもらえたらありがたい。そんな思いもあって、キャストだけでなく、さまざまなスタッフにも取材していきました」
約1年、撮影現場の内側に入り続けるうちに、もう一つ見えてきたものがある。それが『VIVANT』チームに根付く“優しさ”だった。
メイキングは本来、撮影本隊から一歩引いた存在になりやすいという。しかし『VIVANT』では、人手が必要なときは山本さんにも「ちょっと手伝って」と声がかかる。暗い場所で小さなライトを使って俳優を取材していると、照明スタッフが機材を持ってきて照らしてくれる。衣装スタッフが周囲に声をかけ、インタビューしやすい環境を作ってくれることもあった。
「担当の垣根を越えて助け合うことが当たり前になっているんです。無理に“優しさ”を狙って編集しているわけではなく、現場で起きていることを素直に追っていくと、自然とそういう一体感がにじみ出てくる」
ロケ先のアゼルバイジャンでは、当初は文化や仕事の進め方の違いに戸惑っていた日本と現地のスタッフを通訳たちがつなぎ、最後には涙を流しながら抱き合って別れを惜しむまでになった。その変化も、長期間カメラを回し続けたからこそ残せたものだった。
長期密着には、もう一つの意味もある。撮影から放送まで時間が空けば、当時の苦労もやがて思い出に変わっていく。だからこそ山本さんは、大変な撮影のさなかにこぼれる言葉や表情を、その時にしか残せないものとしてカメラに収めてきた。














