0.01秒の世界で「毎日、命削ってる」

池江は勝負を分ける0.01秒の感覚について次のように語った。

「0.1秒も0.2秒もめっちゃ遠いです。1秒なんて果てしないですよ。簡単にできるもんじゃないです」

現在の自身の立ち位置を「中途半端。世界ランクも十何番とかで、決勝にも行けないんかい!みたいな」と冷徹なまでに客観視する。

だからこそ、練習への打ち込み方は苛烈を極める。合宿中、調子が上がらない苛立ちを抱えながら、練習開始の1時間前から黙々とストレッチをする姿があった。ウエイトトレーニングのやり過ぎで腰を痛めたこともある。それでも、一日一日納得するまで練習をやめられない。

「毎日命削ってる思いでトレーニングしてるんで。人間って一生に心臓が動く回数が決まってるみたいに言うじゃないですか。だったら私、多分早死にするんだろうなって思うくらい。でも、楽しいんですよね。練習するの好きだし」

所属クラブが主催する水泳教室で子どもたちを指導した際、質疑応答の場で彼女の本心が垣間見えた。

「努力したら努力した分だけ結果が出るわけじゃない。自分でもこんなに努力したのになんでこんな結果が出ないんだろうって思う時もたくさんあって。だけど、そうやって努力をしたかしてないかを考えてる時点で、自分は果たしてもう死ぬ気で努力をしてきたのかって問いたくなる」