(ブルームバーグ):中国の情報機関トップは、AIの急速な進歩が政治の安定や重要インフラを脅かす可能性があるとして、AIを巡り中国政府としてこれまでで最も詳細な警告の1つを発した。
陳一新国家安全相は13日、公式の「中国網信」誌に掲載された寄稿文で、敵対勢力によるAIの悪用は「中国の政治安全、制度安全、イデオロギー安全を直接脅かす」可能性があると指摘した。また、システムの脆弱(ぜいじゃく)性を発見し、マルウエアや弱点を突くソフトウエアを作成するAIの能力が高まっていることにも言及した。
この寄稿文は、AIがもたらす危険性を中国がどう評価しているかについて、これまでで最も明確に示したものの1つだ。米主要テクノロジー企業の幹部らがAI開発をより慎重に進めるよう呼びかける中で公表されたが、タイミングが調整されたことを示す兆候はなく、米アンソロピックやOpenAIが最先端モデル開発の減速を呼びかけていることには触れていない。
アンソロピック共同創業者のダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は12日のブログ投稿で、AIの能力向上に安全対策が追いついていないと主張し、企業と米国、その他の民主主義国による連携を提案した。陳氏も寄稿文で安全性を強調したが、リスクを主に政治的統制、技術主権、外国からの脅威、戦略的競争という観点から捉えている。
中国政府が最も懸念しているのは、「敵対勢力」と陳氏が表現する主体が「世論戦」や「認知戦」を仕掛ける可能性だ。中国国家インターネット情報弁公室が主管する同誌への寄稿で陳氏は、ディープフェイクやAIが生成した文章・画像、SNSのボットが、政治的なデマの捏造(ねつぞう)や有害情報の拡散、社会の分断をあおるために利用される可能性があると指摘した。
また、AIを活用したウェブ情報の自動収集やデータ分析、プロファイリングのシステムによって、外国の情報機関が国家データや企業秘密、個人情報などの機密情報を収集する能力が高まる可能性もあるという。
陳氏はさらに、AIで優位に立つ国が国家安全保障を理由に技術規制を導入し、業界標準を「独占」してクローズドソースのエコシステムを構築する可能性があるとも警告した。
原題:China Spy Chief Warns of AI Risks as US Tech Leaders Urge Brakes(抜粋)
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