県庁は、その地域に住む住民にとって欠かせない県の行政機関です。しかし岐阜県庁は、なんと県の玄関口JR岐阜駅から徒歩でおよそ1時間の場所にあるのです。一体なぜ都心から離れた場所にあるのか?徹底調査しました。

57年前、岐阜市中心部から田んぼの真ん中に移転した岐阜県庁

2023年1月4日、旧庁舎のすぐ隣に建てられ、半世紀ぶりに生まれ変わった岐阜県庁。地上21階建て、高さ106mで、496億円もの建設費が投じられました。20階の展望フロア「清流ロビー」は、岐阜市内を一望できるほか、名古屋駅のビル群や伊勢湾まで見渡すことができます。無料とあって早くも連日多くの県民が訪れています。

(訪れた人)
「岐阜の全体が見えてとてもきれいでした」

人気スポットにもなりつつある新しい岐阜県庁。しかし、そもそもの“あること”について尋ねると不満が噴出します。

(岐阜市民)
「ちょっと遠すぎますよね…」

(岐阜市民)
「何をするにも不便な場所というのは感じています」

不満の理由は、県庁の場所です。実はJR岐阜駅などがある市の中心部から4kmほど離れた場所にあり、徒歩でおよそ1時間、バスでも20分ほどかかる場所にあります。

公共交通機関で行くには不便すぎる場所。来庁者だけでなく、県職員もほとんどが自家用車を使うため、朝の出勤ラッシュ時は車の大行列になります。県庁はもともと岐阜市の中心部にありましたが、1966年に現在の場所に移転しました。当時の映像では、田んぼの中にポツンとたたずんでいます。

「メリットなんて1つもない」県庁移転が岐阜市の商店街衰退のきっかけに

なぜ街の中心部から、田んぼの真ん中へ移転したのか?この謎について調査をスタート。まず岐阜市中心部の柳ヶ瀬商店街で話を聞きました。

(柳ヶ瀬商店街振興組合・林亨一理事長)
「メリットなんて一つもないですよ。デメリットしかないと思います。県庁が遠くに移転し、まず客が半分になった。常連の数も気が付いたらどんどん減っていく流れに」

県庁の移転で客足が減り、商店街衰退のきっかけになったと振り返ります。当時商店街として大反対したという県庁の移転。その理由は何と聞かされていたのでしょうか。

(柳ヶ瀬商店街振興組 合・林亨一理事長)
「(Q県庁移転の理由は?)僕は知らないですね。ちゃんとした説明があるなら聞いてみたい」

大正13年に建てられた移転前の旧県庁舎。文化的にも価値が高いこの建物の保存活用を進めようという協議会のメンバーにも話を聞きました。

(司町旧県庁舎保存活用協議会・石黒時紀さん)
「(Q県庁移転の理由は?)それはもう本当に私は分からない」

残念ながらここでも明確な移転の理由は誰も分からないと言います。しかし、鍵を握る人物の名が出てきました!

(司町旧県庁舎保存活用協議会・メンバー)
「県庁が移転する時は、松野さん。穂積の方のご出身です」