あれから1か月――
伊藤さんは、職場復帰したという運転手のもとを訪れました。
「本当によかった。運転手の方は痛みは少し残っていると言っていましたが笑顔で『仕事頑張っています』と言っていた。それが一番うれしかった」
ところが、この後、伊藤さんが言葉を詰まらせました。

「目の前のことでいっぱいいっぱいだった。でも、イオンモールの建物の中で命を落とした人がいて、そこに気がまわらなかった。言い訳はいくらでもできるが、もう少し落ち着いて状況確認が出来ていたら助けられた命があったはず。それを悔やんでいる」と涙を見せました。

伊藤さんは、日本各地で頻発する災害を踏まえ、去年、被災地支援のために情報収集をする法人を立ち上げていました。その立場で感じたことがあります。
「その場にいる人しかできないことが必ずある。今回、周囲に助けを求め声をかけたら、ペットボトルや消火器をもって駆けつけてくれた。それぞれが役割を果たそうとした。みんなすごい。もし草むらの火が燃え広がっていたら大変なことになっていたかも知れない。共助の大きな力を感じた」
伊藤さんは、9日、警察と消防から表彰されました。

県民の安全と安心の実現に大きく寄与した。他の模範となるもので、その功績は誠に顕著――
伊藤さんは「私はたまたまそこにいただけ、自分だけが表彰されるのはどうかな?」と、最後に表情を緩めました。














