水の行き先――沈み込む地殻物質へ
この成果により、マントル岩石ペリドタイト中の主要下部マントル鉱物であるブリッジマナイト、フェロペリクレース、デイブマオアイトのいずれもが水をほとんど保持できないことが示されました。
では、深部の水はどこへ向かうのでしょうか。
研究グループはこれに対する答えも提示しています。この研究メンバーを中心とした近年の研究によって、地殻中の主要鉱物シリカは下部マントル条件で水を大量に保持できる高圧鉱物へと相転移することが明らかにされていました。
高圧相転移とは、圧力・温度の変化によって結晶を構成する原子の配列が全く異なるものへと変化する現象であり、下部マントルのシリカ鉱物はこの相転移によってより水を保持しやすい構造へと変化します。
つまり、下部マントルでの水循環を支配しているのは主要なマントル岩石ではなく、シリカ高圧鉱物を含む沈み込む地殻物質であるという新しい水循環モデルが浮かび上がります。
沈み込むプレートの中では、深さが増すにつれてペリドタイト層からは水が失われ、地殻物質層へと水が再分配されます。そして地殻物質層では含水シリカ相がさらに多くの水を取り込みながら、深部へと水を輸送し続けるのです。














