制約の中でもより面白い番組を
一方で、視聴者・聴取者からすれば、「辛口の友人」として支えたくても、それに応えてくれる放送ジャーナリズムが存在しなくては支えようがない。そのための答えは1つ。作り手が面白い番組を作ることに尽きる。豊かで自由な言論情報空間の重要な担い手として、報道も、ドラマも、情報バラエティも、エンターテインメントも、すべてが社会性を持った「ジャーナリズム活動」だ。
日本の場合、世界の中でも極めてまれに、地上波テレビが全国津々浦々に完全普及し、タダでテレビが観られる環境が続いている。さらにネット上でもTVer(ティーバー)が普及し、YouTube独り勝ちの様相の動画無料プラットフォームに対抗軸が存在している(音声メディアに関しては、radiko・ラジコもある)。こうした強みももっと生かせるはずだ。
昔から、ちょっとした制約がある方がさまざまなアイデアが生まれ、豊かな想像力が発揮されるものだ。まさに放送が、自由過ぎるネットメディアに対抗して、より面白いコンテンツを発信する時代環境にあるとも言えるだろう。しかも分断の時代にあって、大量一斉送信というメディア特性によって、市民社会のなかで共通の話題を提供する社会的役割はよりいっそう重要になっている。その時、万が一にも為政者のプロパガンダに利用されていると思われることは命取りだ。
<執筆者略歴>
山田 健太(やまだ・けんた)
専修大学ジャーナリズム学科/大学院ジャーナリズム学専攻教授。
専門は言論法、ジャーナリズム学。
自由人権協会代表理事、日本ペンクラブ副会長。放送批評懇談会、情報公開クリアリングハウスなどの各理事を務める。BPO人権委員会など歴任。
主な著書に、『法とジャーナリズム 第4版』(勁草書房)、『ジャーナリズムの倫理』(いずれも勁草書房)、『沖縄報道~日本のジャーナリズムの現在』(ちくま新書)、『転がる石のように~揺らぐジャーナリズムと軋む表現の自由』(田畑書店)ほか多数。
専修大学で一般公開の「表現の自由研究会」を開催中。














