国立博物館、美術館は2001年以降5年ごとに文科省から「中期目標」を示されている。2026年にも次期「中期目標」が策定、公開された。しかしながら、そこに示されている博物館、美術館に対する「評価」の手法は依然深化しておらず、財源の多角化の議論も深まっていない。公募展示室の予約率やライブラリーの利用者数などの外形的な数値だけで博物館、美術館の価値は評価できるだろうか。利用する側の内面に踏み込んだ価値評価ができていないのではないか。博物館学を専門とする佐々木亨氏(小樽市総合博物館館長、合同会社エ・バリュー共同代表)が考察する。

次期「中期目標」の策定と公開

2026年2月に文部科学省は、独立行政法人として管理運営されている国立美術館・国立文化財機構(国立博物館など)・国立科学博物館に対して、次期「中期目標」※を策定し、公開した。

これらの組織は2001年(平成13年)に独立行政法人となって以来、5年ごとに中期目標を見直しながら経営を進めている。

これら独立行政法人の財源は、国費からの「運営費交付金」と入館料や寄附などの「自己収入」からなり、独法化以降、おおむね運営費交付金が全体の7〜8割程度を占めてきた。文部科学省は今回の中期目標で、各独立行政法人に対して、これまで以上に自己収入を増やし、運営費交付金を削減するような運営を目指すように方向を示した。

※正式名称は「独立行政法人国立美術館(国立文化財機構・国立科学博物館)が達成すべき業務運営に関する目標」

「中期目標」を熟読して

この「中期目標」をあらためて熟読してみた。一番に感じたことは、使われている評価手法がまったく深化していないことである。併せて、財源の多角化に関する議論が深まっていないことである。

ここでは、はじめに2001(平成13)年度に国立美術館などが独立行政法人化されてからしばらく経過した時点で、これらの独立行政法人の現状と課題に関して、評価手法と財源の多角化の2点に着目して、どのような議論がなされていたのかを振り返ってみたい。

次に「中期目標」に現れる評価指標や手法をあらためて吟味していく。最後に、これから国立美術館などがどのように評価を活用して、財源の多角化を進めることができるかを考えたい。