中心となるのは昭和生まれ世代

くどうさんの身近な人から話を聞き始め、今では1000人近くの人が参加しています。年齢は20代から80代までと幅広く、中心となるのは肉体的にも子どもを持つことが難しくなると言われる40代から50代前半です。

ちょうどこの年齢の人たちは昭和生まれ世代。“子どもを産むことが普通、子どもがいるのが幸せ”という価値観の中で育ちます。一方で、最近増えているのが30代の参加者です。平成生まれの“みんな違っていい”という教育を受けた世代で、昭和世代に比べて「子どもを持たない」とはっきり言えたり、気持ちの整理にかかる時間も違ったりします。それでも心のどこかにもやもやしたものを持ち続ける人は多いと言います。

一方、60代以上の参加者で、今はスタッフとして手伝っている薮垣さんは2回の流産を経験され、その後、卵巣の手術をしたときにお医者さんに子どもはもう難しいと言われたそうです。当時37歳。落ち込んでも誰かに話すこともできず、日々仕事をバリバリこなし、自分で立ち直るしかなかったと言います。

泣く場所がある、みんなと同じだと共有できる。私としてはすごい進歩であり、人前でも話ができた。そうすると、すごく気持ちが楽になったんです、言葉に出してそんなに人に言わないですから。本当に仲の良い同級生の友達にも言わないですから。なのですごいなって思ったんです、こうやって吐き出すってことで、人間こんなにも軽くなれる。吐き出しても聞いてもらえる、共感してもらえる、これってすごいなって私自身思ったんです。(薮垣さん)

友達にも誰にも言えなかった気持ちを、この集まりでは自然と話せたそうです。くどうさんは「参加者にはシングルや、夫婦、事実婚の方とそれぞれいますが、同じ立場の女性同士、腹を割って話しやすいということで、誰でも安心安全に吐露できる」と話していました。

そしてもう1人、4年前に参加して最近はスタッフとして手伝っている君野さん。33歳で結婚し、自分で選択して子どもはいらないと決めました。しかし40歳を過ぎて子宮の病気をきっかけに子どもが欲しいと思い不妊治療を開始。10年間続け、やめ時がわからなくなっていた時に「マダネ プロジェクト」に出会います。

私は治療をしていて、それで子どもができなかった。若いときの選択肢がちょっと違ったのかもしれないという後悔で落ち込んだり、老後の不安だったり、職場での「子あり」「子なし」の違いのストレスなど、いろいろ感じる中で、みなさんとそういう気持ちを共有したり、先のことを一緒に考えられてちょっと安心したんです。だけど、やっぱりたまに過去の後悔だったり、これからのことを考えて今でもたまに落ち込みます。でも日々はおかげさまで前を向いて歩けるようになったかなと思っています。(君野さん)