「鉄棒で足や頭をたたかれた」現場から新たに救出された男性が語る壮絶な被害

M社で働く特定技能の外国人労働者(ミャンマー人女性提供)

実は札幌地域労組が申し入れをした際、新たに2人のミャンマー人の男性が保護されていた。

大きなスーツケースを転がし車に乗り込む男性たち。ホッとした表情を浮かべ解放感に満ち溢れた様子だ。

2人のうち日本語が比較的堪能なFさん(23)。
「(いまどんな気持ちか?)うれしい気持ちと不安な気持ちがある」

実は、脱出するために寮の中で荷物をまとめていたら長男が突然現れたという。

「寮を出る時に長男から『本当に行くのか。お前たちがいないと明日から仕事がまわらなくなる』と言われた」

自分たちが出て行ったせいでM社の仕事がまわらなくなるのは…
畑の機械を操作できるのは男性しかいない…
そんな責任感や負い目が去来したのだろう。

「それでも行くのか」と長男に問われたが、男性は「行きたいです」と答えたという。

脱出したもう一人の男性Eさん(20)は、自分が受けた被害を次のように話した。

「私は次男から暴力を振るわれました。7月5日午後4時頃に、ブロッコリー畑で草取りの作業をしていました。次男は、ブロッコリーの苗の傷を見つけ、私に向かって『お前がやったのか』と怒鳴りました。私が『わかりません』と言うと『なんでわからないのか』と怒鳴り、私がもっていた除草道具(ステンレス製棒で長さは約1メートル)で私の右足の太腿の裏を7~8回叩きました。次男は私の頭をたたこうと構えたので、とっさに右手を上げて頭を守ろうとしたら、次男はそのまま除草道具を振り下ろして私の右上腕部を2回ほどたたきました。次男は、右太腿をたたこうとしたので、私は右腕を下ろして防ごうとしたところ、次男は私の頭頂部に除草道具を振り下ろしてたたきました。私は『ごめんなさい』と何度も謝りましたが、暴力を止めてくれませんでした」

Eさんは父親からも暴力を振るわれたという。さらにM社で働く多くのミャンマー人が父親や次男から暴力を振るわれたり、理不尽な扱いを受けたりしたと訴える。

ミャンマー人らの聞き取りを行った小野寺信勝弁護士。これまでも外国人の労働問題を多く担当し、会社側との交渉で和解を勝ち取ってきた。今回のケースを聞くと…

小野寺信勝弁護士
「もう全てがひどいですけれども、暴力についても日常的に行われていますし、脅迫的な言動ですね、ミャンマーに帰すであるとか、そういうこともありましたので、本当に取り扱いとしてはとても前近代的な取り扱いだと思います。20年ぐらい前の技能実習生の取り扱いの中で、ひどい例というのは稀にありましたけれども、なかなかここまでひどい例というのは珍しいと思います」

暴力については傷害や暴行といった刑事事件に発展するおそれがあると指摘する。

「民事では給料の支払いがあったかどうかというところですね。それから、暴力であるとか、その他人権上問題のある取り扱いに関しての賠償責任があるかどうか、この辺りが問題になるかと思います」