突然の裏切り:書類送検と「猟銃取り上げ」の非情

北海道警察本部(札幌)
北海道警察本部(札幌)

しかし、事態は思わぬ方向へ進みます。駆除から半年後の2019年2月、池上さんは突如として鳥獣保護法違反の疑いで書類送検され、刑事責任を問われる立場になったのです。
警察は、池上さんが発砲した場所を「法律で禁止されている人や建物などに弾丸の到達するおそれがある場所」として問題視しました。

それ以前の2012年に警察庁が出した通達には、「警察官による命令に忠実に従い、通常必要と認められる措置として駆除することについては、ハンターが刑事責任を問われることはない」と明確に記されていました。
池上さんはまさにこの通達の通り、市の要請と警察官の立ち合いのもとで発砲したにもかかわらず、ハシゴを外された形となりました。

その後、検察は「公共の利益のためで、悪質性は低い」として不起訴処分としました。
しかしそのわずか5日後、北海道公安委員会は「建物に危害を及ぼす恐れがある場所で銃猟をした」として、池上さんの猟銃の所持許可を取り消すという極めて重い行政処分を下したのです。

池上さんの猟銃所持許可を取り消すとした道警の文書
池上さんの猟銃所持許可を取り消すとした道警の文書

ハンター仲間からは、「クマに関して北海道は最前線。国民の生命と財産を守る警察の方に理解してもらえないというのは一番悲しい」と嘆きの声が上がりました。
池上さんも強い怒りと孤独感を滲ませます。

「依頼されるわけであって、ハンターが主導しているわけではない。私たちを守る人は誰もいないんですよ。私たちは自分で自分を守るしかない」