寿司以外のメニューが、店の性格を変えた

もうひとつの柱が、寿司ではないメニューです。回転寿司のラーメンを食べたことはあるでしょうか。くら寿司は2012年に始めて3年ほどで2,300万食を売り、かっぱ寿司も2018年からの累計で1,800万食を超えています。

ひとつ、正直にお伝えしておきます。よく「サイドメニューは原価が安いから、その利益で寿司を支えている」といわれますが、各社はメニューごとの利益を公表していません。ただ、違う業界にはわかりやすい実例があります。牛丼の吉野家は2026年に牛丼と油そばのセットを売り出し、直近の四半期決算では営業利益が前の年の2.4倍になったと報じられています。一杯で完結する牛丼に麺が一品加わるだけで、客単価も利益も動く。回転寿司で起きていることも、おそらく同じでしょう。

メニューが寿司の外へ広がったことの、いちばん大きな意味は、店の性格が変わったことだと思います。生魚がまだ苦手な小さな子どもも、ポテトとうどんがあれば席に座っていられる。茶碗蒸し、唐揚げ、パフェなどの充実したメニューによって、どんな世代の家族も取り残されない。回転寿司は、寿司の店というより、ファミリーレストランに近づいたのです。くら寿司の「ビッくらポン」も同じで、皿を5枚入れるとガチャの抽選が1回できる仕掛けが2000年から続いています。家族連れにとっての回転寿司は、食事であると同時に、ちょっとしたアトラクションになっています。

四大チェーンがもつそれぞれの強み

同じ仕組みを持っていても、各社の顔つきははっきり違います。

王道のスシロー。 会社の資料に「競合より高い売上原価率を維持し、品質と味で差別化する」という方針をはっきり書いています。高い原価は、迷った結果ではなく、選んだ結果です。

エンターテイナーのくら寿司。 ガチャの「ビッくらポン」、皿の抗菌カバー「鮮度くん」など、特許は80件。店そのものを発明と遊びのかたまりにしてきた会社です。全国116の漁港と直接つながって天然魚を仕入れ、AIを使った養殖の子会社まで持っています。

鉄壁のはま寿司。 強みは、親会社ゼンショーの巨大な裏方チームです。調達から加工、物流、店舗までをできるかぎりグループで一貫して手がけていて、自社工場は33、物流センターは26あります。すき家の牛丼も、はま寿司の寿司も、同じ工場でつくって同じトラックで運んでいるわけです。だから新しい業態を始めるときも、工場や配送網をゼロからつくる必要がありません。すでに動いている流れに、扱う商品を一種類足すだけで済む。ゼンショーだけが外のブランドを買わずに自前で育てられるのは、この土台があるからです。

古豪のかっぱ寿司。 1990年代の業界王者です。その後3社に抜かれましたが、いまも税込110円以下の商品を100種類以上そろえて、100円の看板にこだわり続けています。