回転寿司の席に着いて、レーンに寿司が流れていないことに気づいたことはないでしょうか。かっぱ寿司は299店の全店が、はま寿司も681店のうち657店が、すでに「回さない」方式に切り替わっています。それでいて回転寿司チェーンは、一般の飲食店より10ポイントも高い原価をかけながら、利益を出し続けています。安いのに、ネタにお金をかけていて、それでも成り立つ。その仕組みの核心について、リサーチャーのcomugiが解説します。
(TBS Podcast『コムギコ:資本主義をハックしろ!!』2026年8月10日配信『なぜ回転寿司は「まわる」のか?:すしチェーンをめぐる冒険 #コムギコ #89』より)
飲食店の原価率は3割。回転寿司は4割強
原価率という言葉があります。売上のうち、売上原価が占める割合のことです。ここでひとつ断っておくと、売上原価に何を含めるかは会社によって違います。材料の仕入れだけを指すこともあれば、店舗でかかる費用まで含むこともある。だから会社をまたいで並べるときは、あくまで目安として見る必要があります。そのうえで、飲食店の世界では昔から「原価は3割」が目安と言われてきました。日本政策金融公庫の2025年度の調査でも、一般の飲食店の売上原価率は35%です。
では、回転寿司はどうでしょうか。決算資料で確認できる直近の数字を並べてみます。スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIESはグループ全体で43%。くら寿司は43.9%で、このうち単体の損益計算書にある「材料費」だけを取り出しても39.4%あります。はま寿司を抱えるゼンショーホールディングスは、牛丼などを含むグループ全体で45.7%です。
ざっくり言えば4割強。一般の飲食店より10ポイント近く高い原価をかけていることになります。
「回転寿司は原価率50%」という有名な説もあります。これは完全な都市伝説ではなく、スシローの前身の店は1975年の創業時におおむね50%をかけていたと会社の資料にあります。正確にいうなら「かつて5割、いまは4割強」です。
回転しない寿司店も含めたすし店全体の平均原価率は41.1%。寿司という食べ物自体が、そもそも原価の高いジャンルなのです。それでも大手チェーンは、ちゃんと利益を出しています。














