外交上の壁と、「地域」という表現によるリカバー

日本にとって台湾は大切な友人ですが、日本政府は台湾を国家として承認していません。そのため、韓国やフランスなどの国家元首と同列には扱えないという外交上の壁が存在します。

日本と台湾の間で“ざわめき”が続く中、高市総理は7月31日(地震発生から4日目)、国際社会に向けて新たな御礼のメッセージを、日本語と英語の双方でXに発信しました。

「令和8年熊本地震に対し、今日現在で多くの国・地域、国際機関の皆様から、温かいお見舞いのメッセージや具体的な支援の申し出をいただいており、改めて深く感謝申し上げます」

ここで注目すべきは、「国・地域」という表現が登場したことです。日本語版を見ると、「国」と「地域」の間は中黒(・)で結ばれており、それに続く「国際機関」とは読点(、)でつながれています。つまり、中黒で結んだ「国・地域」は同グループであり、読点でつないだ「国際機関」とは扱いが違うことを示唆しています。

高市総理の投稿では、この後にアルファベット順でお見舞いを寄せてくれた国と地域、国際機関の名前が並びます。全部で63ある中で、台湾は56番目に記載されました。同じく日本政府が国家として承認していないパレスチナの次が台湾でした。

頼総統が真っ先に見舞いと支援申し出のメッセージを送ってきたものの、最初のお礼のリストに名前を載せられなかったことへの修正を図りたいという思いがあったのでしょう。すべての名前を列挙し、感謝のリストに台湾を入れたことで、日本としては「台湾からの心遣いに報い、頼清徳総統のメンツを保つ」というリカバーをしたと言えます。当然そこには、中国の反発を招かないように細心の注意を払いながらも、台湾には感謝の気持ちを伝えたいという複雑な外交的配慮が存在したはずです。