新型コロナの後遺症の症状がある人のうち仕事を休んだり、退職するなど、「社会生活に影響があった」と回答している人が半数以上に上っています。実際に後遺症に悩まされ退職し、療養のため地方に移り住んで、社会復帰の一歩を踏み出した男性を取材しました。
コロナ後遺症で移住 「どんどん悪化していく一方で…」
小梶貴行さん(41)は1年半に渡り、新型コロナの後遺症と闘っています。

小梶貴行さん
「これは抗うつ剤ですね。起き上がれないですね、酷い時は。それが辛いですね」
小梶さんが新型コロナに感染したのは2021年7月のこと。デルタ株だったとみられ、40度を超える熱が3日も続いたといます。ホテル療養を経て熱や咳は落ち着いたものの、その後体に異変が表れました。
小梶さん
「僕が働いていた店が新宿だった。片道3~40分くらい電車を乗り継いで店にたどり着いた時点でヘトヘト」
東京・歌舞伎町にある鉄板焼きの店で働いていた小梶さん。隔離期間が終わるとすぐに仕事に復帰しましたが、その後、コロナ後遺症によるうつの症状などが見られると診断されたのです。

小梶さん
「どんどん悪化していく一方で、疲れるし、人とも話したくないし。考えるのも辛くなって。その間もずっと味覚・嗅覚はないし。どうなっていくんだろうって」
結局、コロナに感染してから3か月後に、自ら辞表を提出。静かな環境で回復を目指そうと家族を東京に残し、単身、北軽井沢に移り住みました。
小梶さん
「家族からは怠けているんじゃないのと見られたり、社会的にも 『いい歳なんだから、仕事しなきゃ』『ちゃんとしなさい』と言われたりして。そういうものから自分を守るために、逃げるためにこっちに来た」
一人暮らしの部屋には7歳になる息子の写真や、息子が描いた絵が貼られています。
小梶さん
「去年はほとんど子どもといられなかったんですよ。でも誰よりも『お父さん、ありがとう』って」

息子のためにも早く社会復帰をしたい。そう願っても体調はついていかず、移住して半年ほどの間は、1日中寝込んでいた日も少なくなかったといいます。さらに、追い打ちをかけたのが…
小梶さん
「唯一の収入源が失業手当だった。1年近く(失業手当が)出るって決まってたんですけど、それはリミット。そこまでに病気が治る保証はどこにもない。その間ずっと焦ってましたね。正直ダメだったら自殺するしかないのかなって考えたりして。子どもを養えないから」