トランプ氏の「オバマへの私怨」と15年前の晩餐会
ではなぜ、トランプ氏はこれほどまでにオバマ氏を敵視するのか。お待たせしました(笑)、そのヒントが15年前の出来事です。
当時トランプ氏は、「オバマ大統領はケニア生まれで、出生地がアメリカでなければ大統領になれないという憲法の規定に違反している」つまり大統領の資格がない、という「バーサー陰謀論」を繰り返し唱えていました。
これに対しホワイトハウスは、晩餐会の数日前、オバマ氏の出生証明書を詳細に公開し、ハワイ州ホノルル生まれであることを証明します。オバマ氏は晩餐会のスピーチで「これでこの問題は終わり。ドナルドはようやくもっと重要な問題に集中できる」と述べ、その重要問題として、当時トランプ氏が出演していたテレビ番組内のもめ事などを例に挙げてからかい、会場から大きな笑いを取りました。晩さん会にはトランプ氏も出席していましたが、それまで上機嫌だったのが一変、オバマ氏のスピーチが始まるとうつむき、怒りに満ちた表情になった、と報じられています。
オバマ氏はこの5年後、大統領退任前のホワイトハウス記者協会晩餐会でもトランプ氏をジョークの対象にしましたが、既に共和党の大統領候補となっていたトランプ氏は晩餐会を欠席してペンシルベニア州で選挙集会を開き、「すごく退屈な夕食会から遠く離れて、これほど嬉しいことはない」と、語っていたといいます。
もちろん、この一事だけでトランプ氏がオバマ氏を恨み、イラン核合意が破棄され、今につながった、などと言うつもりは毛頭ありません。ただ、トランプ氏がアメリカ史上初のアフリカ系大統領となったオバマ氏を嫌い、そのオバマ氏に2度にわたって晩餐会でからかわれ、笑われたのは事実です。
一方、今でこそ関係に亀裂が入ったとも言われていますが、イスラエルのネタニヤフ首相とトランプ氏は長年、互いに「盟友」と呼び合っていたのも事実。つまり政治とは、小は地方議会から、大は国際紛争まで、背景には人間関係があるということを、私は改めて感じた、ということです。自民党の総裁選や、野党の離合集散を振り返っても、そうですよね。
ちなみに、先ほど言った「バーサー陰謀論」=オバマ氏はアメリカ生まれではないという偽情報を最初に広めたのは、2008年の大統領選で民主党の候補者指名レースをオバマ氏と激しく争ったヒラリー・クリントン氏の“勝手連”的な支持者だったといわれます。トランプ氏は後に、その陰謀論に乗っかっただけとも言え、2016年の大統領選では、そのヒラリー氏がトランプ氏に敗れて大統領への道を断たれるわけですから、歴史は皮肉です。
そうして大統領となったトランプ氏は1期目にイラン核合意だけでなく、「地球温暖化は史上最大の詐欺だ」と、温室効果ガスの排出規制などを定めた「パリ協定」から離脱したほか、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や中距離核戦力全廃条約、さらに国連機関ではユネスコや人権理事会から離脱し、パレスチナ難民救済事業への資金拠出も停止。
一部はバイデン政権で復活するものの、2期目には、世界保健機関(WHO)からも離脱し、海外援助全般を縮小するなど、「アメリカファースト」の名のもと、民主党政権時の外交政策を転換し続けているのは、皆さんご存じのとおりです。














