南シナ海の領有権問題と「紙くず」と呼ばれる国際判決
前週のこのコーナーでは沖縄県の尖閣諸島を取り上げ、中国が事実と異なるニセ情報を交えて領有を主張する「認知戦」を展開しているお話をしました。今回はその続編とも言える、尖閣諸島をさらに南下した「南シナ海」における中国の領有権主張についてです。
先日、次のようなニュースが報じられました。
「南シナ海の領有権を巡る中国の主張を全否定した、オランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決から10年となった12日、日本、アメリカ、イギリスなど14の国々が、判決を改めて支持する共同声明を発表しました。この声明は、南シナ海で一方的な現状変更の試みを続ける中国を念頭に、『地域の平和と安定を脅かし、安定を損ないかねない行動に強く反対を表明する』と述べています」
オランダの仲裁裁判所とは、外交上の手段では処理できない国際紛争を仲裁する機関で、1901年に設立されました。根拠となる条約には現在120を超える国々が加わっています。今から10年前の2016年7月、この裁判所は南シナ海のほぼ全域を「自分たちのものだ」とする中国側の主張に対し、「根拠がない」と否定する判決を下しました。これは「中国は国連海洋法条約などに違反している」とフィリピンが申し立てたことを受けての判断でした。
しかし、10年が経過した今でも、中国は判決を受け入れるどころか南シナ海の島々に軍隊を駐留させ、滑走路を建設するなど既成事実化を進めています。今回の14カ国による共同声明に対しても、中国外務省は即座に反応し、こうこきおろしました。
「違法であり、拘束力のない紙くずだ」
反発するにしても他に言いようがあるのではと感じますが、実は2016年に判決が下された時も同じ「紙くず」という表現を使っていました。ちなみに、中国自身もこの仲裁裁判所の設立条約締結国です。














