「声のばらつき」系統立てて調べた人は誰もいなかった

実は、多くの研究者も経験的に「ラットの声にある“ばらつき”」の存在は知っていたといいます。しかし、それを系統立てて調べた人は誰もいなかったのです。

研究会に参加していた日本を代表する研究者・岡ノ谷一夫教授(帝京大学・動物心理学)をはじめ、各世代の研究者たちは、和田さんら若手研究者の指摘に、「これは、きちんと調べるべき課題かもしれない」と心を動かされたといいます。

ちょうどその頃、共同研究者である岡部祥太助教(千葉大学)らが、ラットの「嫉妬」や「孤立へのストレス」を表すと考えられる“31キロヘルツ”という新しい声を報告した直後でもありました。

「50kHzの“快”と、22kHzの“不快”という顕著な2つの声の分類だけにしばられていては、本来ラットが発している声が表す“感情”を見落としてしまう」という危機感が、世代を超えた研究者たちの間で共有されたのです。